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プロモーションの舞台裏 Web Designing 2019年10月号

毎日のデジタル配信で魚屋革命!

東京都文京区本郷に構える魚屋「北海道すなお水産」。北海道出身のご主人、荒木是郎(すなお)さんが、独自開拓した北海道直送ルートで仕入れた魚を強みに開業。地域に根ざし、北海道という特徴で勝負する店舗経営とデジタル対応について、取材を行った。

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https://www.sunaosuisan.com/
□企画:すなお水産(株)

 

開店準備は「北海道5周」

北海道すなお水産は、2016年に北海道出身の店主・荒木是郎さんが単身上京し、東京都文京区本郷に開店した魚屋。荒木さんは北海道大学水産学部卒業、マルハ(現在のマルハニチロ)本社かに課に在籍していた元社員でもある。転職後、約6~7年は開業資金を貯める日々。その間、北海道を周ること5回、各港の漁師たちとの直接交渉を通じて独自ルートを構築し、開業後に北海道からの直送便で魚を入手できる手筈を整えていたという。

「縁や幸運があって都内23区内の今の場所に開業できたのですが、当初は閑古鳥状態。店を離れて別の地域に行商をしていたほどでした。この状況を打開するために本格的に取り組んだのが、Facebookページへの投稿。まずは近隣向けにデジタル活用で打開を試みたわけです(01)」

それから約3年、「都内だと手に入らない北海道の魚」を最大の武器にしながら、見事に魚屋の地位を確立。周辺に魚屋がないことも追い風となり、近隣地域の支持を固めていく。荒木さん一人での切り盛り状態から、今や会社設立にまで至り、今春以降には社員が2名増え、荒木さん含めた合計3人体制へと拡張。北海道の魚だけでなく、毎日豊洲市場へと赴き、取り扱う魚介の種類も増やしている。

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01_メインサイトはFacebookページと連携
毎日仕入れた魚の情報を午前中にFacebookページで配信。店舗サイトとも連携している。思い入れのある目玉商品については、その理由や背景を思い入れたっぷりの文章を綴って別途配信。近隣住民を中心に、仕入れ内容を確認しながら来訪する、というサイクルを確立した魚屋だ

 

認知の第一歩は近隣のチラシ配り

ただし、突然Facebookを始めたからといって、新規店舗の投稿をなかなか見てもらえるものではない。

「当初の3カ月間は毎日近隣にチラシ配り。まずは店の存在を知ってもらうためにです」

来店客にもFacebookページの存在を伝えながら、徐々に認知度は向上。ターゲットは文京区本郷界隈の近隣住民ながら、区をまたいで購入する遠方居住者への目線も忘れず、「近隣/遠方」と「男性/女性」の掛け合わせを意識して臨んでいるそうだ。現状は一般客向けのメッセージとして投稿しているが、その内容に共感する複数の飲食店から卸売に関する引き合いも来るようになっている。

「毎朝、豊洲市場で魚を仕入れたら、なるべく早く、仕入れ内容に関する情報を投稿します。実際、投稿内容を確認してから来店するお客様が多いです。並行して、季節や特定の時期にあわせて推したい魚は、推す理由を熱く、時に感情的な表現を意識して伝えるようにしています。店頭に出す予定の数日前からストーリー(熱い思い)を伝え続けると、お客様の中でも関心を育ててくれるからです(02)」

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02_小規模店が認知拡大し集客につなげるまで
近隣地域のポスティングを3カ月続け、認知向上に努めながらFacebookページに毎日投稿。近隣客定着のきっかけとなるほか、遠方客や飲食店にも波及。また、積極的に地域コミュニティにも接触したり、北海道直送という特徴(強み)が目にとまり、各種メディア取材の機会へとつながっていく

 

先を見据えて投稿する

せっかく他にはない強みを持ちながら、うまくデジタル訴求できていない読者は、荒木さん流の成果を引き出す投稿術を参考にしたい。荒木さんは、常にゴールを見据えながら、中長期的な観点で日々の投稿内容をコントロールすると語る。

「一般的に魚屋は、年末商戦が最大のピークです。年末以外の時期は、ピークの最大化を導くために来訪客を醸成していく期間でもあるわけです(03)」

気をつけたいのは、行き当たりばったりな内容の投稿である。例えば、商品画像や料理画像とともに、簡単な説明文だけを載せたような内容のこと。「見る側の気持ちに引っかかってこず、投稿した気になるだけ」と荒木さんは注意を促す。

「投稿の種類は常に2軸です。1つは、売上を落ち込ませないために、毎日の仕入れ情報を公開し近隣一帯の関係性を継続化する投稿。もう1つは、季節ごとの旬の魚について情報だけでなく思い入れを発信する投稿。店の個性につながる内容ですから、定期的に推す理由も伝えます。飽きさせない内容にできれば、北海道の知られていない魚が、いつしか“買いたくなる”魚に変わる可能性がある。そう思ってもらえるかの勝負なのです(04)」

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03_年末商戦から逆算した投稿計画を描く
荒木さん曰く、おおよその魚屋は一般的に年末商戦の短期間で1年の6割超の売上を上げるという。年末にピークへと持ち込むために、他の時期は季節によって売上が厳しい時期とやや持ち直す時期を繰り返す。年末商戦期を軸に、日々の情報と中長期的に先を見越したテーマを投稿しながら、顧客の意識を温めていくことが大切だ
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04_いかに顧客に求められて、得意な商材を扱えるか?
北海道直送ルートを持つ強みと、顧客が求めている魚/商材について整理したチャート。強みと弱み、顧客のニーズ度合いを掛け合わせながら整理できると、中長期を見据えたビジネスへとつなげていける

 

常に「足りていない何か」を探しておく

見習うべきは、荒木さんが近隣地域のインサイトをきちんとつかみ、投稿内容に反映している点だ。他にも、立地条件を勘案すると安価勝負より、自信のある魚を適切な価格で提供する方が、価値には対価を払いたい顧客の心も離れない。来店客の要望をすくい上げ、豊洲市場経由のスタンダードな魚介類も揃えるように方針転換したのも大きい。毎日の仕入れ情報の投稿では、必ず価格表示も記載。店側のロジックや状況判断が読み取れる価格掲載は、同業者には公開したくない情報だが、顧客ファーストを貫く。

幸い店舗体制が3人に拡張し、今後は今まで以上に「まだまだできていないこと」にリソースを割きたいと荒木さんは話す。

「現状の課題はFacebookではカバーできない即時性への対応で、LINE@導入を検討中です。売り切りたい商品やタイムセールなどをプッシュ配信で近隣顧客向けに絞って配信できるからです。あと、受発注システムのデジタル化も構想中です(05)」

朝が早く夜も深くなることがある魚屋運営だが、毎日必ず1時間はデジタル対応にあてるそうだ。一朝一夕ではない地道な積み重ねが、顧客を動かすのである。

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05_1_目的と手段を整理し中長期先を見据える
いつも先々を見据えて「誰に」「何を」「どのように」をそれぞれ洗い出すと、強みの伝え方、弱みの向き合い方が見えやすくなる。現状は、体制や店舗規模を考慮して、実際の顧客層を意識しながら個人客向けのメッセージに徹している。主にFacebookを中心とした運用だが、Instagramを通じたビジュアル訴求も始めている
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05_2_目的と手段を整理し中長期先を見据える
北海道を全周しながら荒木さんが食べ尽くした自作のウニ解説マップを来店客などにも提供している
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すなお水産(株)代表取締役 荒木是郎さん

掲載号

Web Designing 2019年10月号

Web Designing 2019年10月号

2019年8月17日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

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場所に縛られない働き方

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高齢化や人口減少など、地方が抱える課題は山ほどあります。
一方で、インバウンドによる地域資源の再発見やITインフラの整備など、
ポジティブに捉えられる話題もあります。
もちろん地方の自治体・民間企業は今、大きな課題に対し真摯に取り組んでいますが、
WebをはじめとするITスキルのプロフェッショナルの力を必要としているのです!

WebやIT業界で活躍する制作会社をはじめとしたプロフェッショナルのみなさんは、
今そこにある地方の課題解決に多少なりとも貢献できるスキルを持っていると言えるでしょう。
また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。


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●地方が抱える課題とは
・制作会社の力が活きる地方のニーズ

●地方におけるWebビジネスのヒント
・制作会社の強みを活かす 考え方と実践
・今行われている地方でのビジネスとは?

●自治体側の受け入れ態勢や協業、助成金

●地方との繋がり方
・「移住」は手段の一つ。「住まなくても繋がる」関係性

●企業で考えるべき「働き方」
・地方志向の社員を活かすための制度導入
・サテライトオフィス、在宅リモートなど事例

【本誌内注目の一文】
■本当の魅力を発見して伝えていくためには、外から来たヨソモノ視点が必要

■まずは参加して、違う環境に関わってみよう

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■地域外の人材が地域づくりを担い変化を生み出す

■WebやITを生業とする方であれば、自身のスキルを活かす形でも関係人口になれます

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