香落ちは下手が大変?香落ちをとがめる定跡を詳しく解説!|将棋情報局

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香落ちは下手が大変?香落ちをとがめる定跡を詳しく解説!

香落ちはあまり馴染みがなく、定跡を知らないという方も多いのではないでしょうか。
上手が先に指す分、香落ちのとがめ方を知らなければ、むしろ平手より下手が大変と言えます。
そこで今回は、香落ちの定跡を、動く盤面を使いながら解説します。
初心者の方でも分かりやすく学べる内容になっています。

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皆さんこんにちは。

本記事では、「駒落ち」の指し方をご紹介します。
詳しくは、2023年4月24日に発売の『【新装版】駒落ち定跡』(所司和晴)にも載っていますので、チェックしてみてくださいね。

※本稿は、所司和晴著『【新装版】駒落ち定跡』の内容をもとに編集部が再構成したものです。
 

香落ちとは?


2人の棋力に差があるときに、ハンディとして使う駒を減らす(落とす)ことがあります。
使う駒を減らす方(将棋が強い方)を上手(うわて)、全部の駒を使って指す方(将棋が弱い方)を下手(したて)と言います。
香落ちは上手が左香を落とした手合いです。

香落ちは駒落ちの中で下手と上手の差が最も少ない将棋です。
上手が先に指す分、香落ちのとがめ方を知らなければ、むしろ平手より下手が大変と言えます。
香落ちでは上手の左香がないので、玉を右へ囲うため必然的に振り飛車になります。
対して下手は平手と同じように進めると損です。
1筋の歩を突いていき、玉を囲った後、早い時期に▲1四歩△同歩▲同香と端を攻める指し方が香落ちの定跡手順です。

香落ちの定跡を見てみよう


まずは今回解説する定跡を最初から最後まで見ていきましょう。
理解を深めるため、定跡通りに動く盤面を用意しました。
どのようにして下手が上手玉を追い詰めるのか、華麗な手順をご覧ください。


定跡を詳しく解説


ここからは先ほどの定跡を細かく分け、各局面の手の意味を解説していきます。
先ほど同様、動く盤面を使いながら読み進めてください。
また、定跡とは別の手を指されたときはどうすればいいのか(変化手順)も解説しています。
変化手順も動く盤面に反映させていますので、必要に応じて使ってみてくださいね。

下手は居飛車が基本-初手~5手目まで-



初手の△3四歩には▲7六歩が基本です。
▲2六歩では△5四歩とされる複雑な変化があります。
▲7六歩にたいして上手は玉を右に囲うので△4四歩とし、振り飛車を目指します。
本定跡では△3二飛とまわって三間飛車を採用してきました。
香落ちは"捌きの将棋"と言われます。
そのためには三間飛車が最も適しているのです。

下手、端を狙う-6手目~10手目まで-



△3二飛に下手はすぐ▲2五歩を決めます。
保留して▲1六歩(変化1)では△3五歩▲2五歩△3四飛と石田流に組まれて損です。

下手は、上手の弱点である端を直接狙い、▲1六歩から▲1五歩とします。

仕掛けのチャンス-11手目~19手目まで-



互いに玉を囲い、陣形を整備します。
途中、上手の△3五歩は将来の捌き合いのために必要な手です。
下手は▲5八金右までで舟囲いを完成させました。
対して上手は△5二金左と上がりましたが、ここがポイント。
つまり、上手に6一金の離れ駒があるので、下手にとっては仕掛けのチャンスなのです。

△5二金左の局面で仕掛けずに▲5六歩(変化2)と駒組みを進めていると、△7二銀と締まられ、仕掛けにくくなり下手損です。

互いに歩を突き捨てる-20手目~26手目まで-



下手は▲1四歩△同歩▲同香と仕掛けます。
このように1筋を攻めないと香落ちの得があまり生きません。
▲1四同香に対して△7二銀(変化3)では、▲1八飛△1五歩▲2四歩△同角▲1一香成で下手良しです。

先ほども言いましたが香落ちは捌きの将棋。
上手は△3六歩と突き捨てて捌きやすくします。
▲3六同歩(変化4)なら△1五角と飛び出します。
以下▲1八飛なら、△2六角あるいは△4八角成▲同金△3六飛でいずれも一局です。

下手も捌きやすくするため▲2四歩と突き捨てておきます。

▲1八飛が有力-27手目~32手目まで-



互いに飛車先を突き捨てたあと、上手は△1三歩と打ちます。
目につく△4五歩(変化5)は、▲1一香成があるので無理なさばきになります。

▲1八飛に対し、△1二歩(変化6)は▲1四歩△2五桂▲1三歩成で、本定跡とほぼ同様の進行になります。
△1二飛(変化7)には▲1四飛でなく▲1四歩として、△2五桂に▲1六飛で下手十分です。
以下△1一香には▲2三歩の調子です。

正着は▲2四竜-33手目~39手目まで-



香損ながら竜を作って下手はっきり優勢に見えますが、△4五歩から上手も捌いて形勢はまだ微差です。
▲3三角成で▲6六歩(変化8)は、△5五角で下手大変になります。

角交換後、▲2四竜が正しい指し手で、▲3三同竜(変化9)△同銀▲3一飛は△5一角の辛抱で下手大変です。
▲2四竜に対して△3六飛の他では△3七歩(変化10)が有力な変化。
しかし▲2五竜△3八歩成▲5九銀で下手有利です。
以下△4九とは▲6八銀右で手が続きません。
△3七歩▲2五竜に代えて▲3七同桂(変化11)は△同桂成▲同銀△5五角で難しいです。

と金を作る切れない攻め-40手目~44手目まで-



△3八飛成の局面では下手やや有利ですが、次の一手は難しいところ。
▲3九歩(変化12)は△1八竜▲4四桂△6二金寄▲3二桂成△5一銀と進み、下手が歩を使えない攻めなので、竜と持ち角と成桂の3枚では上手陣を攻め切れない感じです。
また、▲3三歩(変化13)は△3一歩で、やはり難しい将棋です。
本定跡では▲3四歩とします。
こうして将来、と金を作る切れない攻めを狙います。

△2六歩に代えて△2八歩(変化14)は、▲3七桂と手順に逃げて下手良しです。

▲3二桂成で切れない攻めになりました。

と金の活用で下手有利-45手目~50手目まで-



△4三銀に代えて△5一銀(変化15)には▲3三歩成とし、次に▲4二とを見せて下手良しです。

△4三銀▲3三歩成に△3二銀(変化16)なら▲同とで下手十分。
以下△3二同竜は▲3四歩です。

▲2一竜に△6五銀(変化17)は▲4三角がぴったりの好打となります。

△2九竜にすぐ▲3九歩(変化18)もありますが、△3八歩が間に合うと下手不満です。
本定跡では▲4二ととしてと金の活用を望みます。
これで下手が有利です。

▲4二と以下△8四香(変化19)なら、ここで▲3九歩の調子です。
△8六桂(変化20)も▲6八玉で大丈夫です。

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ここまでお読みいただきありがとうございました!
以上が香落ち定跡の一部です。

詳しくは、2023年4月24日発売の『【新装版】駒落ち定跡』(所司和晴)に載っています。
本書ではほかにも、「角落ち」や「飛車落ち」などの戦い方も解説しています。
ぜひ本書を読んで、駒落ちをマスターしてください! お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
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