4枚落ちで指すときはどうする?上手陣を攻略する定跡を詳しく紹介!|将棋情報局

将棋情報局

4枚落ちで指すときはどうする?上手陣を攻略する定跡を詳しく紹介!

6枚落ちをもう1段階レベルアップさせたのが4枚落ちです。
上手に桂が増えているので、簡単に端を破れなくなっています。
しかし、破る方法は必ずあります。
今回は4枚落ちの定跡を、動く盤面を使いながら解説します。
初心者の方でも分かりやすく学べる内容になっています。

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
駒落ち定跡記事一覧
Lv1.8枚落ち
Lv2.6枚落ち
Lv3.4枚落ち(今読んでいる記事)
Lv4.2枚落ち
Lv5.飛車香落ち
Lv6.飛車落ち
Lv7.角落ち
Lv8.香落ち

皆さんこんにちは。

本記事では、「駒落ち」の指し方をご紹介します。
詳しくは、2023年4月24日に発売の『【新装版】駒落ち定跡』(所司和晴)にも載っていますので、チェックしてみてくださいね。

※本稿は、所司和晴著『【新装版】駒落ち定跡』の内容をもとに編集部が再構成したものです。
 
目次
1 4枚落ちとは?
2 4枚落ちの定跡を見てみよう
3 定跡を詳しく解説!
 3-1 下手、飛車先を突く-初手~7手目まで-
 3-2 棒銀を繰り出す-8手目~18手目まで-
 3-3 下手、1筋を詰める-19手目~24手目まで-
 3-4 ▲1二歩が急所の一手-25手目~28手目まで-
 3-5 最善の攻め▲2三銀成-29手目~32手目まで-
 3-6 上手、歩切れがつらい-33手目~37手目まで-
 3-7 下手、細かく攻める-38手目~44手目まで-
 3-8 成り駒で攻める-45手目~52手目まで-
 3-9 飛車角を成り込む-53手目~58手目まで-
 3-10 上手の攻めを逆用する-59手目~最終手まで-
4 駒落ち定跡を体系的に学ぶならこの本がおすすめ

4枚落ちとは?

2人の棋力に差があるときに、ハンディとして使う駒を減らす(落とす)ことがあります。
使う駒を減らす方(将棋が強い方)を上手(うわて)、全部の駒を使って指す方(将棋が弱い方)を下手(したて)と言います。
4枚落ちは上手が飛車角と、香それぞれ2枚とも落として指す将棋です。

6枚落ちに比べると、上手に桂2枚が加わっているので、簡単に端を破れなくなります。
とはいえ、やはり端に弱点があるので工夫して攻めます。
棒銀で1、2筋方面から端を破っていく順が良く指される定跡です。

 

4枚落ちの定跡を見てみよう

まずは今回解説する定跡を最初から最後まで見ていきましょう。
理解を深めるため、定跡通りに動く盤面を用意しました。
どのようにして下手が上手玉を追い詰めるのか、華麗な手順をご覧ください。


定跡を詳しく解説


ここからは先ほどの定跡を細かく分け、各局面の手の意味を解説していきます。
先ほど同様、動く盤面を使いながら読み進めてください。
また、定跡とは別の手を指されたときはどうすればいいのか(変化手順)も解説しています。
変化手順も動く盤面に反映させていますので、必要に応じて使ってみてくださいね。

下手、飛車先を突く-初手~7手目まで-


4枚落ちは6枚落ちより桂馬が2枚加わりましたが、やはり将来は端を絡めて攻める必要があります。
角道を開けた後、飛車先を突く指し方が一般的な定跡です。

それ以外だと、▲2六歩の代わりに▲1六歩(変化1)と突いて端から飛車を使っていく手順もあります。
▲1六歩に△3二金▲1五歩△2二銀▲1八飛△5三銀▲1四歩△同歩▲同飛△1四歩▲1六飛と端で歩交換をします。
次に▲1七桂~▲2五桂で、端に飛車、香車、桂馬を集中させていく狙いがあります。

棒銀を繰り出す-8手目~18手目まで-



下手はまず飛車先の歩を交換しておきます。
「飛車先交換三つの得あり」で、
①一歩を手にする
②飛車が敵陣を直射する
③2五の地点に攻め駒(銀や桂)が進出できる
などのメリットがあります。
そして下手は▲3八銀から棒銀を繰り出し、端と2筋をミックスして攻めます。

さらにもう1つ、▲3八銀の代わりに▲9六歩(変化2)△7二金▲9五歩として▲9四歩△同歩▲9二歩の攻めを見せる順もあります。
▲9五歩に対して△8二金と備えてきたら、そこで▲3八銀として棒銀を目指します。

下手、1筋を詰める-19手目~24手目まで-



△2二銀に▲1六歩~▲1五歩と突き越し、いつでも端から攻める用意をしておきます。
上手は△6四金とすばやく右金を繰り出し、攻めを見せますが、下手は▲2五銀として端を絡めた攻めを狙います。

上手の△7三金では、△4四歩(変化3)▲1五歩△4三玉▲2五銀△3四歩と組む指し方もあります。
この場合でも、下手は▲1四歩△同歩▲1二歩として、次に▲1四銀△1三歩▲2三銀成△同銀▲1一歩成と、攻めます。
この手順は本定跡でも現れます。

▲1二歩が急所の一手-25手目~28手目まで-


上手は△5五歩と、下手の角筋を止めます。
下手は▲1四歩△同歩と突き捨てて、▲1二歩。
この垂れ歩は棒銀定跡の急所の一手となります。

△5五歩の代わりに△6五金(変化4)と来ても、下手は▲1四歩△同歩▲1二歩と、同じように攻めていきます。
以下△7六金と迫ってきても、6~8筋に歩が利かない攻めなので、怖くありません。

本定跡で▲1二歩の代わりに▲1四同銀(変化5)は、△1三歩と受けられ、攻め続けるのが難しい形です。
▲1三同銀成△同銀▲同香成△同桂▲1四歩としても△1一香で大変です。

最善の攻め-29手目~32手目まで-



上手の△4四銀で△6五金(変化6)なら手堅く▲5八金右としておいてよいでしょう。

△4四銀に▲1四銀は当然の一手。
攻めを急いで▲1一歩成(変化7)△同銀▲1四銀は、△2二銀で損をします。

▲1四銀に△1三歩はやむを得ません。
この手を怠ると▲1一歩成△同銀▲2三銀成があります。
△1三歩に▲2三銀成が最善の攻め。
▲1一歩成(変化8)も有力ですが、△1四歩▲2一と△1三銀で、下手が少し損をします。
△1三銀に▲1二歩という手も考えられますが、△2四歩▲1一歩成△2三銀と受けられて、やはり下手がはっきり優勢とはなりません。

上手、歩切れがつらい-33手目~37手目まで-



▲2三銀成に△同金は▲1一歩成。
これは次に▲2一とが厳しく、下手断然優勢です。
△2三同銀にも▲1一歩成とします。
上手は歩切れがつらく、下手好調です。

下手、細かく攻める-38手目~44手目まで-



下手優勢ながら、さらに優位を拡大していくにはどう指すか、ちょっと難しいところ。
▲1三歩(変化9)は、△6五金▲1二歩成△同銀▲2二とに△2七歩▲同飛△2六銀打でまぎれます。
△2六銀打以下、▲2八飛は、△2二金▲3六歩△2七歩。
こうなると下手容易ではありません。
▲2八飛の代わりに▲2六同飛(変化10)△同銀▲3二とで、力があれば下手が勝ちきれますが、損な戦いです。

本定跡では、▲3一と△2二金▲1四香と細かく攻めます。
そして△6五金に▲2一とと戻り、▲1三香成とします。

成り駒で攻める-45手目~52手目まで-



と金を巧妙に動かして成香を作ることに成功しました。
このあとは、と金と成香と飛車の協力で攻めていきます。

▲2二成香で▲2二と(変化11)△4二金▲3二と△同金▲2一飛成とすれば、早く飛車が成り込めますが、と金を捨てるのは少しもったいない感じです。
▲3一とのところ、▲5八金右(変化12)と自陣に手を入れて堅実に指す順も有力です。
この手順の方が安全ですが、本定跡のように攻め合っても下手勝ち切れます。

上手に△5六歩と攻めさせることによって、下手の角筋が通ります。

飛車角を成り込む-53手目~58手目まで-



上手は下手の飛車成りを受けることが出来ません。
△2六歩(変化13)と打っても、▲1八飛です。
▲Ⅰ八飛以下、△2七歩成としても、▲4二成香△同玉▲1二飛成で下手勝勢です。

△2六歩に代えて△2六銀打(変化14)も、▲3六歩△2七歩▲1八飛。
上手は持ち駒に歩がなく困ります。

△5七歩に▲4二成香△同玉▲2二飛成で飛車の成り込みに成功。
そして△5三玉の逃げに▲3三角成と角も成り込み、下手は勝勢を確保しました。
上手に△5六歩と攻めさせたことにより、角成まで実現したのです。

上手の攻めを逆用する-59手目~最終手まで-



▲3三角成の局面で△4五銀(変化15)なら、いろいろありますが▲5五金が一番早い寄せです。
以下△同金▲同馬で下手必勝です。

上手は受けがないので△5八銀から攻めますが、下手は手駒が多く入るので、より速い寄せを狙うことが出来ます。

△5七香と打たれた局面、下手玉はまだ詰めろではありませんが、▲5七同金が分かりやすい勝ち方です。
ここでは▲6五桂(変化16)△6四玉▲5五金△同金▲同馬以下、長い詰め手順もありますが、上手に△5七同金とさせてから詰ました方が易しいでしょう。

 

駒落ち定跡を体系的に学ぶならこの本がおすすめ


ここまでお読みいただきありがとうございました!
以上が4枚落ち定跡の一部です。

詳しくは、2023年4月24日発売の『【新装版】駒落ち定跡』(所司和晴)に載っています。
本書ではほかにも、「2枚落ち」や「飛車香落ち」などの戦い方も解説しています。
ぜひ本書を読んで、駒落ちをマスターしてください! お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
将棋情報局では、お得なキャンペーンや新着コンテンツの情報をお届けしています。

著者