七冠狂騒曲の息吹 | マイナビブックス

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七冠狂騒曲の息吹

2015.09.09 | 米澤孝至

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こんばんは。編集部の米澤です。

いきなりですが、先日紹介した「羽生善治全局集 ~七冠達成まで~」から鈴木輝彦八段のコラムの一節を引用します。

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昨年の秋頃、哲学を解説する書を読んでいて、誰かが言っていたな、と思う文章に出会った。「知識は過去の物であり、知恵こそ未来である」という一文だったが、哲人の多くはこの考え方であったという。
数日して、ハッと思い出したのは、羽生さんが「技術は過去の物ですから、発表しても構いません。指し手の創造こそ大切です」と言っていた言葉だ。この言葉はあの一文と同じ事を言っている。技術は知識であり、創造は知恵であるからだ。全く凄いことを言っているのだと心の底から感心してしまった。

(※一部太字にしました)
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かっこええ…。

本書は将棋世界臨時増刊号「七冠王、羽生善治」を再編集したものです。
というわけで、「古いのに新鮮な」リアルタイムの熱を書籍で体感していただければと思います。

「全局集」と題していますが、本書は棋譜に限らずいろんな方の言葉を収録しています。
その中から個人的に好きなものを2つだけ、断片ですがご紹介します。


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七冠王の誕生という現実は、私にとって途方もなく重いものだった。
(森下卓九段)

マスコミが報道しない(出来なかった)打ち上げの情景を報告しておきます。まだ新下関からの新幹線があると、谷川は打ち上げの途中で帰ることになっていた。席を立つ直前、谷川は羽生に向かって「おめでとう」と酒をお酌をしました。このスナップは公開したいと思う一方、二人だけのマル秘にしておきたいと思った。
(毎日新聞 加古明光氏)

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今までの全局集と同様に、王将戦4局の自戦記はもちろん収録しています。
自戦記に加え、当時の様子が伺えるエッセイとともに楽しんでいただければと思います。

発売は9月末頃の予定です。
最後に、今回の書籍のために羽生先生に書いていただいたまえがきのラストを。

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現代の目からすると古めかしいのかもしれません。
それでもその時の息吹を少しでも感じてもらえたらうれしいです。