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究極の穴熊対至高の銀冠

2015.03.30 | 米澤孝至

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こんにちは。編集部の米澤です。

編集部の人間も、たまにネット上の評判に目を通したりします。
書籍の評判や、ブログの評判。
ブログの反応は書籍の売上とそれなりに相関はあるようなので、結構死活問題だったりもします。

私が最近書いた記事だと「銀冠愛好家へ捧げる一冊」がかなりツイート等していただき、反響が大きかったです。
やっぱりみんな、銀冠好きですよね。美しいですし。
「とっておきの穴熊退治」(佐藤秀司七段著)、4月14日発売です。

「とっておきの穴熊退治」に関するネットの声として、
「当然、広瀬の振り穴に勝った棋譜が載ってるんですね」
というストレートなご意見を見つけたので、今日はご要望にお応えして自戦記編から対広瀬四段(当時)戦をご紹介します。

広瀬四段はこの一戦まで4戦全勝。
広瀬穴熊に初めて土が付いた一局です。

さて、ざっくり進んでまず第5図。



これ、前回解説した図面とすごく似ています。

対銀冠最強の敵「四間飛車穴熊△4四銀型」

ブログでも本書の第1章でも確認できるのですが、▲8五歩に代えて▲6六歩が佐藤先生推奨の一手。
じゃあどうして▲6六歩としなかったのかという心情描写が面白いです。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

第1章で本局のような指し方は苦労が絶えない戦いで、好んで指す気はしないと書いていたのに。今思うと知らず知らず『胸を貸す』という姿勢になっていたのかも。その後の広瀬四段の出世ぶりを考えればおこがましい限りだった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

なるほど。
皆さんも年下相手に胸を貸す気分のときは、手厚く▲8五歩から▲8六角で勝負しましょう。

個人的に一番面白いと思う局面を最後に紹介します。



私のような玉頭戦好きにはたまらない手順が展開されます。

▲6五銀左△8五歩▲9七角△6五金▲同銀△同銀▲同桂△8六銀
▲8三歩(途中図)△7六歩▲8二歩成△同金▲8三歩(第10図)





☆ ☆ ☆ ☆ ☆

銀を引いているようでは駒が総退却になりかねないのでぶつけていく。穴熊相手に大胆ともいえるが、やはり本局は『胸を貸す』という姿勢だったのだ。
途中図の▲8三歩は待望の一手であり、銀冠党にしてみればこの手が指せれば負けても本望という手だ。そして2度目の▲8三歩。どちらが勝っているのか自分でも分からなかった。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆

まさにノーガードの殴り合い。
このあと銀冠が焼け野原になるまで殴り合いは続くのですが、『胸を貸した』佐藤秀司六段(当時)がこの激戦を制しています。

ちなみに、本書は巻末に将棋年鑑的な形式の棋譜解説があります。
こちらには「広瀬王位」相手に銀冠で戦っている将棋もあります。
これさえ読めば四間飛車穴熊なんて怖くない!



銀冠は序盤も大事ですが、中終盤は独特の手厚い指し回しが必要とされます。
そういった意味では、銀冠の熱闘を盤に並べて、銀冠ワールドを感じていただくのが、1番効果的ではないかと思うのです。

発売は4月14日です。お楽しみに!