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新刊案内「羽生善治全局集 ~名人獲得まで~」 羽生先生の全局集第2弾が出ます!!

2015.01.13 | 島田修二

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みなさんこんにちは。
先週末、初めてバックギャモンというものをやってみた編集部の島田です。


さて、本日は皆さまから「次はいつでるの?」というお問い合わせも多くいただいておりました待望の一冊、「羽生善治全局集 ~名人獲得まで~」を紹介いたします。


タイトル:羽生善治全局集 ~名人獲得まで~
著者:羽生善治
A5判、424ページ
価格:2,640円
発売日:2015年2月14日


前回の「羽生善治全局集 ~デビューから竜王獲得まで~」の続編で、竜王獲得のあとから名人を初めて獲得するまでの278局が全て解説付きで収録されております。

羽生先生は竜王獲得の後、南棋王、福崎王座、谷川棋聖、郷田王位を次々に破り五冠を達成します。しかしその後竜王を佐藤康光先生に奪われ四冠に。しかしA級1期目で名人挑戦権を獲得すると、米長邦雄名人を4勝2敗で破り念願の名人を獲得。そして五冠に返り咲くのであります。

今日は本書の第1部、米長名人との名人戦をちょっと紹介します。
米長先生も当時50歳名人として大人気、そこに23歳の羽生四冠が挑戦ということで大きな話題となった名人戦です。

自戦記冒頭の文章はこうです。

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ただのタイトル戦ではなかった。ただの対局でもなかった。ただの勝負でもなかった。名人戦はやはり名人戦だった。
名人戦6局を戦い終えて、それが偽らざるいまの心境である。
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かっこいい・・・。かっこよすぎる羽生先生。

この七番勝負、羽生先生は序盤から3連勝します。しかしそこから米長先生も底力を見せて2勝を返します。にわかに怪しい雰囲気がただよってきた第6局。
角換わりから米長先生が右玉に構えます。

このブログを読んでいる方ならご存知の方も多いと思いますが、これはかの有名な「歩がバックする手筋」が現れた将棋です。

何も聞かずに次の局面を見てください。


注目すべきはここからの羽生先生(後手番)の手順です。
まず△6三角。
次に△3六歩で桂が殺されるので米長先生は▲4五歩と止めました。

ここで後手は△4五同歩。先手はその歩を取り返そうと▲5六銀左。ふむふむ。

さぁここです!出ますよー。3手一組の好手順が。

△4六歩▲同銀△4四歩!!

4五にいる歩を突き捨てて△4四歩とは!なんという手順でしょうか。
しかしこれで次の△3六歩が受かりません!!桂得が確定しました。
以下▲4七金△3六歩▲4五桂△同歩と首尾よく桂馬を取って羽生先生が快勝、念願の名人を獲得したのでした。

面白いのはこの手順についての羽生先生の解説。

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佐藤竜王がこの3手一組を「新手筋発見」と解説していたことは、あとで聞いた。対局中は意識していなかったのだが、そういえば、あまり見ない筋なのかもしれない。
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意外とあっさり!(笑)

クールです。スーパークールです。

さらに個人的に面白かったのがこの自戦記の最後の部分に書いてある、名人獲得後の羽生先生の行動。


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打ち上げの席では、恐縮にも、米長先生からお酒をいただき、それからかなり飲んだ。4時間以上飲んで、気が付いたら午前4時。3時間後の午前7時からテレビのインタビューを受ける予定になっていたから、もう寝るわけにはいかない。仲間に誘われて麻雀を始めた。
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若い、羽生先生若いっす。

本書にはこの名人戦七番勝負の自戦記をはじめ、羽生先生の対局が解説つきで278局収録されてます。

「~デビューから竜王獲得まで~」は312ページでしたが、今回は424ページと、100ページ以上増えました。
なぜページが増えたかというと、収録局そのものが多いことに加えて、解説が詳しく載っているタイトル戦が増えたからです。

40歳を超えた今でも四冠の羽生先生、さらに棋王への挑戦も決めています。

この本で羽生先生が将棋界を席巻する、20代前半の快進撃をどうぞご堪能ください。