みなさん、明けましておめでとうございます。
山の神、新・山の神ときて、次のネーミングが思いつかない編集部の島田です。
新年一発目はただいま注目度ナンバーワンの
「久保&菅井の振り飛車研究」を紹介したいと思います。
すでに米澤の方から何回か紹介されていますが、少しは俺にもやらせてよ、ってことでいきます。
ではみなさん、頭を振り飛車にしていただいて、こちらの図をご覧ください。
見覚えあり!の方は将棋通。
そうです。第3回電王戦の▲菅井先生と△習甦の一戦。
菅井先生なら勝ってくれるだろうという大方の予想を覆して習甦が完勝。第3回電王戦の流れを決めたあの対局でございます。
この対局について久保先生と菅井先生が語るわけですから考えただけでもワクワクします。
もちろんこの図からの細かい変化手順について、二人がガチで解説しているわけなんですが、それは本書を読んでいただくとして。
と、いうとあまりにもそっけないので、ちょっとだけ紹介すると、実戦はここから▲7八飛~▲6六歩としたんですが、ここから▲3六歩~▲2六歩で銀冠にする手や▲6六歩~▲6八飛とする手があったようです。詳しくは本書で。
ここでは私が読んでいて面白かったところをピックアップします。
まずは菅井先生のコメント
「あ、これ、見たことある(笑)。居飛車の作戦は古風で、最近これをやる人はいません。この将棋を指して思ったのは、序盤は何をやってもいい勝負なんだなと感じました。この局面は振り飛車十分で、これで悪かったらどうしようもない。ただ、こちらに工夫する余地はありました」
そして久保先生
「これは人間同士なら9割の人が振り飛車を持つでしょう。私も当然先手を持ちます。20年前なら、この形は振り飛車が作戦勝ちなので、居飛車はこういうふうな駒組みでは駄目だよ、と教えられた局面ですね」
個人的に好きなのが次の菅井先生のコメント
「この間、奨励会の2級ぐらいの子と練習将棋を指したら、これ(テーマ14図)やってきたんですよ。しかも、向こうが先手なのに、わざわざ▲1六歩とか突いて調整してくるんです。隣で見ていた人が『知っててやってるんか』とか言ったら『はい、見ました』とか言って、ニタニタ笑ってる。腹立つから、ボコボコにしてやりましたよ(笑)」
「テーマ14図からもう一局指すとしたら? いいですよ。この局面からなら、もう一回やりたいです」
あー、なんてかっこいい菅井先生。向上心の塊のようなお方。
本書には振り飛車のいろんなテーマ図について、指し手の解説がもちろんメインなんですが、ところどころにこんな風にお二人の人間味が垣間見える場面があります。
ぜひ皆さんも本書を読んでいただいて、お気に入りのセリフを見つけていただければ幸いです。