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▲3七銀戦法を極める本「これからの相矢倉」

2014.12.25 | 米澤孝至

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今、知人に伝えたいことNo.1は「エクセルでF2キーを使うとすごく便利」。

こんばんは。クリスマスも平常運転の米澤です。
 
本日紹介する書籍は1月23日発売となる「これからの相矢倉」(著:畠山鎮七段)です。
 
 
相矢倉の歴史は古く、江戸時代にまでさかのぼります。
そして長い年月を経て、現在は「▲3七銀戦法」がプロ間の主戦場となっています。 
 
「これからの相矢倉」では、「▲3七銀以前」「現在の▲3七銀」「これからの▲3七銀」という3つの視点で矢倉定跡をまとめています。
 
最新の結論を学ぶだけの1冊ではありません。
3七銀戦法を知る上で欠かせない基礎知識から、未解決の課題局面までを広く深く学ぶための1冊です。
 
☆▲3七銀以前
 
例えばこの形。
 
 
長く矢倉を指している方には常識かもしれませんが、早囲いの失敗パターンです。
第3図の▲6八玉に代えて▲3六歩と後手の動きを一旦待てば、むしろ先手が指しやすい展開です。
そのため、後手も3手前の△5二金に代えて……そもそも先手は▲7七銀と上がらずに……。
 
と、こうした深い理由があって、相矢倉の序盤の一手一手が形成されているということが、書籍を読めばすんなり分かっていただけるはずです。
第1章では他にも、タイトル戦でもよく指されていた△5三銀右急戦など、▲3七銀戦法以外で、目にする機会が多い形を解説しています。
 
☆現在の▲3七銀
 
ここでは大幅に端折りますが、第1章の結論はこうなります。どん。
 
「▲3七銀戦法に対して、現在は△6四角型が主流」

第2章では△6四角型に対する現時点での見解をまとめています。
△6四角型と一言で言っても、いろんな形があるんです。
 
編集部であーだこーだ盛り上がったのが▲6五歩と反発する形。
 
 
プロ間では先手指しにくいと結論が出ていますが、アマチュア同士なら知らないと後手番持ってうまく指せないだろうとか、そんな話をしていました。
 
あと、こんな形もあります。
 
 
実は本日行われた王将戦挑決プレーオフ(▲羽生―△郷田)で、これとそっくりな局面が現れました。
ほんのちょっとだけ違うのですが。
 
☆これからの▲3七銀
 
未来志向の第3章。
実は第1節のタイトルが「宮田新手以前」となっています。
 
「未来じゃないやん」とツッコミが入りそうですが、これでいいんです。
 
第3章第1節、最初の結果図がこちら。
 
 
難解…。
宮田新手以前の変化にも、可能性はあります。
この章ではこうした変化を一つ一つずつ、掘り下げています。
 
その他、宮田新手の変化、名人戦で話題になったponanza新手も掘り下げています。
 
 
今日はおおざっぱに書籍の流れをまとめてみました。
蛇足ですが、私の個人的な感想を。
「矢倉って難しいけど、自由に指してみてもいいのかな」
と、矢倉に対してポジティブになれる1冊だと思いました。矢倉って面白い。
 
私は今日が年内最後のブログ更新です。
拙い文章ですが、来年はより一層、書籍の魅力をブログにうまく凝縮できるよう頑張ります。よいお年を!