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上田―渡部戦を「対先手中飛車完全攻略」と「激指13」で振り返ってみた

2014.11.14 | 島田修二

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みなさんこんにちは。
本格的な冬が始まろうとしております。

昨日行われたマイナビ女子オープンベスト8▲上田-△渡部戦は
先手中飛車対居飛車△6四銀型の熱戦となりました。

それがこんな局面になったのです。



ここから△8二飛▲2五歩△3三桂に▲6八角!が端に狙いを定めた機敏な一手。



以下、なんやかんやで上田さんが勝ちました。詳しくは週刊将棋をご覧ください。

さて、先手中飛車といえば最近マイナビから発売された
小林先生の「対先手中飛車完全攻略」があります。

この本に今回の対局を読み解くヒントが・・・。

ありました!75ページに載ってます。

それがこの局面。



ふむふむ。似たような局面で、小林先生の結論は先手が手詰まり模様で不満、と書かれています。さっきの実戦の局面と本の局面を比べてみると違うところがいくつかあります。
それが以下の3つ。

(1)先手が▲4六歩と突いていないで▲9六歩と突いていること
(2)▲6八金ではなく▲7八金の形になっていること

以上です。

そして実戦は△3三桂に待っていましたとばかり▲6八角

この▲6八角は(1)(2)の条件がそろっているから打てる角。

ま、まさか・・・?

隣の編集部員と議論した結果、上田先生は渡辺先生の△3三桂を誘っていたのではないかという結論に至りました。(こんな議論する暇があったら仕事しろ説)

さて、ここで真打ちの激指先生登場!
他に手がなかったのか教えて偉い人。

というわけで「激指13」検討モード発動。

・・・すると意外にも激指13は▲6八角と打たれてもまだ互角の評価。
以下、実戦のとおりに進めてみます。

▲6八角以下、△4五桂▲同桂△同歩▲1八香△5三銀▲1九飛△3三角▲4六歩△4四銀▲3七桂△5三桂▲4九飛△4六歩▲同角△7二飛▲8五桂・・

むっ!?

この△7二飛で評価が先手に振れました。しかもこの△7二飛のところで△5一角!と角を引いて耐えればまだ互角だったという激指先生の評価。

将棋にはいろんな手があるものです。

次は来週の11月18日(火)矢内理絵子女流五段-山根ことみ女流1級戦です。
こちらも注目の一戦です。

どうぞお楽しみに。