と金にまつわるエトセトラ(後編) ~将棋世界編集部渡辺のちょっと棋分転換♪~ #17 | マイナビブックス

価値ある情報を幅広く紹介。将棋の「知りたい」はここで見つかる

マイナビ将棋編集部BLOG

将棋世界

と金にまつわるエトセトラ(後編) ~将棋世界編集部渡辺のちょっと棋分転換♪~ #17

2014.09.19 | 渡辺大輔

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


こんにちは。「後手番としては」と打ったら「後手バントしては」と出てきて野球が見たくなり、横浜スタジアムに行ってきた渡辺です。ブランコのサヨナラホームランで大興奮でしたっ!

今回は前回の続き。

畠山鎮五段(当時)vs淡路仁茂九段戦のご紹介です。
と金の大活躍ぶりを、図面でお伝えします。
 
(第1図は△3五歩まで)
よくある相矢倉戦に進みました。第1図は50手目の局面です。
駒組みがひと段落し、先手が5筋の歩を切っていよいよ攻めようというところで、後手の淡路九段が△3五歩と桂頭を突っかけていきました。
 
(第2図は△3七歩成まで)
進んで第2図。58手目の局面。と金ができました。
△4七とや△4八と、と攻めに使うのかと思いきや、淡路九段の構想は一味違いました。
ここから、3筋のレインボーロードをと金が駆け巡ります。
 
(第3図は△3六とまで)
66手目、第3図。端を絡めて猛攻を仕掛ける畠山五段。
淡路九段は受けに回りました。△3六とと引いて銀取りを見せます。
 
(第4図は△3五とまで)
玉頭の激しい戦いは続き、74手目、△3五と。
目障りな金を退治すべく、さらにと金を引きます。
先手は角桂香損なので、一気に攻め切りたいところです。
 
(第5図は△3四とまで)
92手目。3四の地点までと金がやってきました。
と金と金の交換は許せないので、いったん▲1四金と逃げることに。
先手は挟撃の形ですが、攻めの二の矢がなく、ここでは後手の形勢がよさそうです。
 
(第6図は△3三とまで)
102手目、△3三と。ついに自陣までと金が引き揚げられました。
金銀と連結し、もはや囲いの一部といっていいでしょう。
敵味方のと金が横に並ぶというのも、なかなか見られないのではないでしょうか。
 
(第7図は△3二同とまで)
そして104手目。△3二と。まさかの自陣で玉のヒモがつきました。
もうひとつ、△3一とと引いていれば伝説になったのですが、ここで▲3五香と狙いをつけられてしまったため、△2三と▲同金でお役ご免となりました。
 
このあとは、淡路九段が畠山五段の追撃をかわしつつ、見事な反撃を決めて勝利しました。
 
こうして見ると、と金を受けに使うのは非常に有力なんじゃないかと思えます。
皆さんも、将棋観戦の楽しみ方のひとつとして、と金の動きに注目してみてはいかがでしょうか。