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と金にまつわるエトセトラ(前編) ~将棋世界編集部渡辺のちょっと棋分転換♪~ #16

2014.09.12 | 渡辺大輔

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こんにちは。コンビニでついてくるフォークの袋にもつまようじを入れてほしい渡辺です。

今回は、「と金」についてのお話です。

先日ふと、と金を自陣まで引き揚げるような将棋ってどれくらいあるんだろうかと気になりました。
(例えば▲5三歩成~▲5四と~▲5五と~▲5六と~▲5七と~▲5八と~▲5九と、というように、自陣に引き付けた実戦例のことです)

そこから発展して、将棋盤81マスの中で、片側のと金で進んだことのないマスってあるのか?という疑問がわいたので、日本将棋連盟のデータベースで調べてみました。

 
一~六段目までは、1~9筋すべてに到達したことがあります。
(後手なら九~四段目。以下後手側からの符号は省略します)
 
まあ、ありそうですよね。では、残る七~九筋の、いわゆる自陣はどうでしょう。
 
【進んだことのないマス】
6七、9七、9八、8八、6八、4八、1八、九段目すべて
 
以上の16マスという結果でした。
 
もしかして一番下までと金を引っ張った将棋があったらすごいなと思っていたのですが、さすがに存在しませんでした。
 
しかし八段目はともかくとして、七段目にも未踏の地があるとは。
棋譜用紙に一度も▲9七と(△1三と)や▲6七と(△4三と)と書かれたことがないというのは少し意外な気がします。
 
なお、八段目にと金が凱旋した将棋は、以下の4局です。
 
▲2八と 桐山清澄九段vs内藤國雄九段 昭和60年 内藤勝ち
▲3八と 勝浦 修九段vs西村一義九段 昭和63年 勝浦勝ち
▲5八と 西村一義九段vs神崎健二七段 平成11年 神崎勝ち
△3二と 畠山 鎮七段vs淡路仁茂九段 平成9年 淡路勝ち

こんなレアケースなのに2回名前の出ている西村九段はすごいですね。何がすごいのかはよく分かりませんが。
4局とも、と金をめいっぱい活用していて非常に面白い動きを見せるのですが、淡路九段がらしさ全開の指し回しを見せた畠山vs淡路戦の将棋を次回ご紹介したいと思います。