アドビが見せたAIとヒトの共生のカタチ|MacFan

アラカルト FUTURE IN THE MAKING

アドビが見せたAIとヒトの共生のカタチ

文●林信行

IT、モバイル、デザイン、アートなど幅広くカバーするフリージャーナリスト&コンサルタントの林信行氏が物申します。

AIとヒトはどんな関係を築くのか。アドビ社のイベント「Adobe MAX」が大きなヒントをくれた。基調講演ではアドビ社の人工知能技術「アドビ・センセイ(Adobe Sensei)の強化が発表され、声でも操作ができる未来の「フョトショップ(Photoshop)」が実演された。

これが実にすごい。手描きした映画ポスターのイメージを取り込むとAIが自動的に絵の特徴を抽出。背景が宇宙であることや女性が描かれていることを認識し、膨大なストック写真から雰囲気の近い写真を選び「使える素材」として表示してくれる。

そこから宇宙の写真を1つ選ぶと、雰囲気に近い宇宙写真だけが表示され、画面全体の明るさや構図、色味でさらに絞り込みを行える。そして、その上に主演女優の写真素材を配置する。第一候補の写真は顔の向きがイメージとちょっと違う。すると、AIが角度違いの写真をすべて顔の位置や大きさを揃えて一覧表示してくれる。

写真には女性だけでなく撮影したスタジオの背景も写っているが、こちらもボタン1つの操作で瞬時に風になびく髪まできれいに女性を切り抜いてくれる。こうして、ほんの数分で大雑把なイラストから、本格的な映画ポスターが完成する。

さらに驚かされたのは、このポスターの製作過程をアドビ・センセイがすべて観察し学習していることだ。つまり、「違う写真を選んでいたら、どんな仕上がりになっていたか」とAIに問えば、瞬時に切り抜きや大きさ・位置合わせを済ませた他の写真と差し替えて確認できる。おそらく、それまで何人かのアシスタントを雇って1日がかりでやっていたような作業がわずか10分ほどで完成してしまった。この動画のダイジェストをツイッターに投稿したところ大反響を呼んだ(http://bit.ly/AdobeSensei17で見られる)。

 

 

Nobuyuki Hayashi

aka Nobi/デザインエンジニアを育てる教育プログラムを運営するジェームス ダイソン財団理事でグッドデザイン賞審査員。世の中の風景を変えるテクノロジーとデザインを取材し、執筆や講演、コンサルティング活動を通して広げる活動家。主な著書は『iPhoneショック』ほか多数。




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