Apple SIMをはじめとするeSIMの今後|MacFan

アラカルト 今あるテクノロジー

Apple SIMをはじめとするeSIMの今後

文●今井 隆

アップルデバイスに搭載される、さまざまなテクノロジーを超ディープに解説!

 

読む前に覚えておきたい用語

SIMカード規格

SIMカードの規格は、欧州電気通信標準化機構「ETSI(European Telecommunications Standards Institute)」の定める「ETSI TS 102 221」で規定されている。SIMカードには6ピンまたは8ピンの端子が装備されており、SIMカードはこの端子を通じて装着した携帯端末と通信を行う。ピンは電源端子と数本の信号線で構成されており、ホストである携帯端末とはわずか1本のデータラインでシリアル通信を行う。

SIMフリー

携帯端末に他社のSIMカードを装着しても利用することができない状態を「SIMロック」、もしくは「SIMカードロック」と呼ぶ。2010年6月に総務省は「SIMロック解除に関するガイドライン」を公表し、国内の通信事業者にSIMロック解除を実施するよう求めた。その結果、2013年11月にAppleから「SIMフリー(SIMロックフリー)」状態のiPhone 5S/5cがリリースされ、複数の通信事業者が提供する数多くの通信サービスの中から自由にSIMを選択することができるようになった。

 

 

契約情報を記録したSIMカードの役割

SIM(Subscriber Identity Module)は携帯端末で扱われる契約情報を記録したICカードで、UIM(User Identity Module)カード、あるいはUSIM(Universal SIM)カードと呼ばれることもある。ベースとなっているのはUICC(Universal Integrated Circuit Card)と呼ばれるクレジットカードサイズ(1FF)の接触型ICカードで、その形状はISO/IEC 7816で規定されている。この形式の接触型ICカードはクレジットカードのほか、ETCカードやB−CASカードなどでも利用されている。現在普及しているのは、これを小型化した「ミニSIM(MiniSIM)」(2FF)、さらに小型の「マイクロSIM(microSIM)」(3FF)、もっとも小型の「ナノSIM(nanoSIM)」(4FF)の3種類で、歴代のiPhoneもそのいずれかを採用している。

4種類のサイズの異なるSIMカードは、その内蔵チップやプロトコル、端子配置が違うわけではない。このためより大きなSIMカードへの変換アダプタが市販されている。また、ミニSIM、マイクロSIM、ナノSIMなどの小型カードは、クレジットカードサイズ(1FF)のフレームに取り付けられた状態で製品化されており、これを取り外して携帯端末にセットする方式が多い。

カード内部のSoC(Silicon on the chip)にはCPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ、暗号化ユニットなどが統合されており、小型マイコンのシステム構成となっている。表面の金メッキ端子部分の下に数ミリメートル平方のチップが埋め込まれているが、故意に分解すると回路が損傷する構造となっており、内部チップを取り出して解析することができないよう設計されている。

通信事業者から提供されるSIMカードには、電話番号に紐づけられたIMSI(International Mobile Subscriber Identity)が記録されており、これによってSIMカードを装着した携帯端末が変更になっても、それまでの電話番号や登録情報を引き継げるようになっている。IMSIは一般的に15桁の数字で示され、先頭から3桁が国コード「MCC(Mobile Country Number)」、続く2~3桁が事業者識別番号「MNC(Mobile Network Code)」、残りの9~10桁が加入者識別番号「MSIN(Mobile Station Identification Number)」で構成されている。

 

3種類のSIMの比較

3種類のSIMカードと、ベースとなっているICカード「ID-1 UICC」の比較。携帯端末の小型軽量化にともなってSIMカードも小型化が求められ、現在のnano SIMでは信号ピン寸法ギリギリまでそのサイズが小さくなっている。




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