アラカルト FUTURE IN THE MAKING

新時代の息吹を感じる教育

文●林信行

IT、モバイル、デザイン、アートなど幅広くカバーするフリージャーナリスト&コンサルタントの林信行氏が物申します。

今、日本の教育シーンがとんでもなく面白い。生涯にわたって役に立つ本物の素養よりも、大学受験戦争を突破するテクニックが重視されていたのがこれまでの教育だったが、この状況がようやく変わり始めた。本誌にも度々登場する広尾学園の医進・サイエンスコースでは、中高生たちが「世界の誰もやっていない研究」を課題として与えられ「iPS細胞」や「次世代エネルギー」の研究をしている。そのためにはノーベル賞受賞者、山中伸弥教授の英語の論文も読み解かなければならず、そのために英語を勉強する。

一方、和食給食応援団は、現代の学校給食のほとんどはパンや洋食、中華が中心で無形文化財の和食の文化が失われかねないという危機感から、全国各地の学校を訪問し、地元の料理人さんと地域の特色や旬も取り入れた給食メニューを開発したり、生徒、栄養士さん、そして父兄に和食の文化や伝統を楽しく伝える活動を行っている。

教育の場は学校外にも広がっている。

「おおさかみらいシティ」では公共の体育館に集まった複数の公立小学校の生徒たちが仮想の通貨を使っておままごとをする。やがて「誰がどんなお店をやっているか」を伝える新聞社が誕生したり、折り紙でつくられた商品がもっと売れるように商品ディスプレイ方法が変わったりと、1日の間に街は大きく進化し、その様子に大人も驚かされる。

津波被害にあった石巻は、街全体が1つの学校のようだ。ヤフー!ジャパンやグーグル、アップルといったIT企業の要職に就いた人々が個人の活動として月に何度か通っては高校生らにプログラミングやコピーライティングの極意を教えたり、ファッションショーを企画したり、一緒になって本物の街づくりをしている。

学びの機会の広がりにも注目だ。東京大学では、現在の型にハマった教育では規格外となり不登校になることも多い「学習障がい」を抱えた子どもたちに対して、そういう子どもたちこそが「将来、並外れてすごいことを成し遂げることが多い」と「異才発掘プロジェクトROCKET」という教育プログラムを展開。実はニュートンやアインシュタインをはじめ、IT業界の経営者らも規格外の子ども時代を過ごした人が多い。授業の内容もかなり規格外で面白い(いずれもベネッセ総合教育研究所の連載「シフト」で取り上げているので、興味が湧いた人はそちらで読んでほしい)。

 

 

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Nobuyuki Hayashi

aka Nobi/デザインエンジニアを育てる教育プログラムを運営するジェームス ダイソン財団理事でグッドデザイン賞審査員。世の中の風景を変えるテクノロジーとデザインを取材し、執筆や講演、コンサルティング活動を通して広げる活動家。主な著書は『iPhoneショック』ほか多数。




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