2017.04.30
企業や教育機関へのアップル製品の導入をサポートする、株式会社Tooの福田弘徳氏が「モビリティ」の地平を語る。
教育者のためのアップルの新しいプログラム「アップルティーチャー(Apple Teacher)」がスタートした。このプログラムはアップル製品を教育現場で最大限活用できるよう、教材やヒント、インスピレーションがまとまったものである。また、テストをクリアすることでバッジが獲得でき、すべてをクリアすると晴れてアップルティーチャーとして認定される。授業や学校生活の中でiPadをどのように活用できるか、また内蔵されているアップル製のアプリケーションを用い、教育者が想像していたような授業がどのように行えるのか、そういったコンテンツが満載である。
iPadを中心とした教育現場におけるICT導入は、教育の2020年問題として話題となっている大学入試改革に対応するためや、文部科学省が推進している一人一台のタブレット環境を実現するために年々加速している。そうしたニュースは度々報じられるが、実際の現場について語られることは少ない。現在の学校/教員側の対応状況を総じて語ると、一部のICTに詳しい教員がモチベーション高く導入を牽引していることがほとんどだ。つまり、すべての教員がiPadをはじめとするタブレット端末およびICTを使いこなせているわけではない。もちろん、中には学校/教員全体で問題意識を持ち、積極的に利活用しているところもあるが、たいていの場合「現場」はついていけていないのである。
教育機関へのICT導入の本来の目的は、学校や教員、生徒・児童へタブレットを配ることではなく、授業の中にいかに定着させるかだ。しかし、それは教員にとっては「授業における利活用の方法」を考える必要性が生じ、その難しさや手間、時間的制約等から、実際に授業に用いる前にタブレットやICT導入に対してネガティブな印象を持ってしまう人がいる。以前、ある大学教授に聞いた話である。教授は講義時間の90分間をほぼ話ながら板書を行って講義の時間を埋めていた。iPadなどデジタル教材が浸透すると90分の講義内の時間配分が変わってくるし、1年間の講義スケジュールも再検討しなければならない。よって、学生との講義時間のコミュニケーションが変化することを懸念し、iPad導入に否定的であると話していた。