2016.04.08
iOS 9.3は教室でのiPad利用を促進し、コストも抑えられる可能性を秘めた注目のアップデートである。iOS 9.3が教育現場にもたらすiPadの新たなユースケースと可能性に迫ろう。
真の「1人1台体験」を目指して
アップルが以前より教育分野に力を入れているのは、本誌読者であればご存じのことだろう。教育分野でのアップル製品導入事例は、アップルの公式WEBページ「Appleと教育」で多数の映像とともに公開されている。特にiPadは、ほかのOSと比較して、動作の安定性、操作の容易性、バッテリ持続時間の長さ、豊富な教育向けアプリ等を武器に、教育機関で好んで選ばれてきた。
背景にあるのが「個々の生徒・児童に合わせた教育体験の向上」であろう。学習に取り組む生徒児童の課題や強みは一人一人異なり、パーソナライズされた体験が重要だからだ。それゆえ、iPadの教育機関導入には「1to1(1人1台)」の導入が理想的だ。
事実、2010年の博多高等学校(福岡県)や袖ヶ浦高等学校(千葉県)を皮切りに、私学を中心に1to1のiPad導入校が続出している。2015年9月には茨城県古河市が、市内の研究指定小学校3校にLTE搭載iPadの1to1(他校は1校40台ずつ)配備を行うなど、公立小での事例も出てきた。