2016.04.06
今年2月、東京・新宿で自治体向けにタブレット端末およびICT推進のセミナーが開催された。全国各地から集まった地方自治体の議員たちが熱心に耳を傾けていたのは、行政のスマート化を促進すべく、iPad導入を成し遂げた2人の県庁職員の講演だった。包み隠さず披露された「成功の秘訣」をレポートする。
県庁を経営組織へ
教育やビジネスの現場で、ICTの利活用、とりわけタブレット端末の導入の意義が叫ばれるようになって久しい。それは行政を執り行う機関にとっても同様である。煩雑な手続きと膨大な書類を必要とする現場なだけに、ICTを活かした業務改善は喫緊の課題であるに違いない。iPadの導入で、業務におけるさまざまな課題を解決してきたお二人に話を聞くことができた。
1人目は、神奈川県庁にて知事補佐を務める根本昌彦氏。2014年にLTE対応のiPad1620台を県庁に導入し、わずか1年で会議資料で使う紙の約30%カットを成し遂げた。しかし、「こうした紙代という『コスト削減』だけがiPad導入の目的ではありません」と、根本氏は語る。「そのほかの業務内容にもICTの活用が広がれば、解決されるであろう課題は多いと思います。iPad導入のきっかけとして、まず目標に設定したのが効果が見えやすい会議のペーパーレス化でした」。