野呂エイシロウの「ケチの美学」第51回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第51回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

モチベーションはいらない

「モチベーションを上げるのにはどうしたらいいですか?」という質問を時々いただくが、この数年、ボクには「モチベーションを上げる」という概念がない。ここ10年ぐらいだろうか?何かをするうえで自分からモチベーションを上げたことは、一度もない。

「モチベーションを上げる」というのは、わざわざ自分で自分を盛り上げることである。たしかに、若い頃は仕事などで自分を鼓舞してやる気を出さないとできないことがあった。ジョギングをするときも、モチベーションを上げるために音楽をかけていた。

でも考えてほしい。なぜ何かをするうえでモチベーションを上げなければならないのか。それは、やりたくないことだからだ。

今日も早朝からゴルフの練習。この原稿を書いている時点で、56日間連続で練習場に来ている。でも、わざわざ自らモチベーションを上げて練習に臨んでいるわけではない。

先日、最新のiPadプロを入手した。5G対応は、やはり快適。場所は限られるが、通信速度が早いと、いろいろなシーンで効率が上がる。ゴルフの練習中も、新iPadプロとノートアプリ「グッドノーツ(GoodNotes)」を駆使して、フォームなどの改善したいところをチェック。コーチからのフィードバックや写真を添えて、練習に活かしている。

そもそも練習ではなく、「本番」だ。ボクは「練習」という言葉が好きではない。人生に練習はない。会議もメールも、いつだってすべて本番である。ゴルフにおいても、今日のためではなく、明日の本番のために毎日改善している。

新iPadプロは、今すべての事柄に使っていて、常に持ち運んでいる。超便利な存在だ。仕事もゴルフも、全部この1台。ボクには欠かせない道具である。

モチベーションの話に戻そう。ボクはゴルフにモチベーションがあるわけではない。仕事だってそうだ。習慣として、今日も仕事をしているのに過ぎない。皆さんは「朝食を食べる」「歯を磨く」「トイレに行く」という日常的に行う事柄に対して、モチベーションを上げたことがあるだろうか? おそらくないだろう。なぜなら、それらはすでに習慣化されているからだ。

だから「仕事のモチベーションを上げるには?」と聞かれたところで、そもそもモチベーションなどない。習慣化できていれば、やる気の有無はあまり関係ないのだ。とはいえ、嫌々仕事をしているわけでもない。なぜなら、それはボクにとって習慣だから。

個人的な考えだが、モチベーションとは「習慣化するための練習」なのだと思う。習慣化さえできれば、あとは毎日のルーティーン。一説には、どんなことでも21日間やり続けたら習慣化できるらしい。

以前は、早起きをするにもモチベーションが必要だった。でも、習慣化された今は、目覚ましが鳴る5分前には自然と、ハッキリと目が覚める。ジョギングにもテニスにも、今はモチベーションは必要ない。トイレや風呂と同じだから。

仕事も同じだ。この原稿だって、モチベーションを上げないと書けないわけではない。習慣として、書きたいことを書いている。

「モチベーションを上げないとできない」という言葉は、嫌なことを克服するために使うものだ。今、嫌なことは何だろうか? ボクには思い浮かばない。強いて言うなら、マスクをして生活をすることだろうか? それもまた、モチベーションとはちょっと違う気もするが…。

 

i新しいiPad Proは常に携帯している。ゴルフの上達にも大助かり!

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。