野呂エイシロウの「ケチの美学」第46回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第46回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

今日を生きる

何かと不安な毎日が続いているが、それは「未来を考えすぎているから不安なのだ」ということに、最近ボクは気がついた。目の前の1杯のコーヒー、目の前の音楽、目の前の仕事に集中する。それが、不安をなくすコツである。

ボクだって、50年後の103歳の自分のことを考えると不安になる。「ボケてないだろうか?」「歩けるんだろうか?」「家族は生きているのだろうか?」「地球温暖化は進んでいるのだろうか?」など。そう、先のことを考えると不安がどんどん増えていく。ボクだって将来的に病に伏すかもしれないし、会社が倒産してしまうかもしれない。でも、今に集中するのだ。

今、ボクは新しいMacBookプロでこの原稿を書いている。この間、あるテレビ局で先輩のディレクターに話しかけられた。「野呂くん、もうM1のMac持っているんだね。速い?」と。「原稿を書くだけの野呂くんにはいらないだろう? もったいない」とも言われたが、手に入れてみて驚くのは、「時間を感じる」ことだ。上手く説明できないけれど、ボクが使っているテニスラケット、ウイルソン(Wilson)の「プロスタッフ(PRO STAFF)」に似ている。どちらもボクにとっては過剰とも言えるスペックだが、それが集中力を増す源となっている。

そう、集中力が大切なのだ。集中していれば、不安は消える。今、この原稿はちゃんとした机に向かって書いているわけではない。あいにくそんな環境におらず、あぐらをかいて、膝の上にMacBookプロを置いて書いている。

ちゃんとした環境がなくても、集中力さえあればどんな環境でも仕事はできる。周りのノイズは気にならない。とにかく画面と脳に集中する。コーヒーを飲むときも、テニスでボールを打つときも、とにかく集中が大切だ。

加えて、一つのことに集中することも重要だ。マルチタスクはいらない。走りながらテニスボールを打つことはあまりない。プロでも、走って、一瞬止まって態勢を整えてから球を打つ。

以前までのボクはマルチタスク型で、複数の仕事を同時にこなしていた。だが、今は常に一つのことに集中をしている。昔はチャットを気にしながら、音楽を聴いて作業をしていた。だが、ミスは増えるし、不安も増大。いろいろなことを考えながら作業すると、結果的に効率が下がることを学んだのだ。だから、今はシングルタスク。1つのことにとにかく集中する。

食事のときも、以前はよくこぼした。というのも、集中力がなかったから。でも今は、食事中でさえ超集中している。集中すれば不安はなくなる。今、この瞬間を生きようと思う。未来を考えるのは、そのあとだ。

 

集中して食べれば、 美味しさも100万倍!

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。