野呂エイシロウの「ケチの美学」第44回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第44回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

ストレスは捨てる

あなたには“ストレス”があるか? 「そんなの当たり前じゃないですか?」「生きていればいろいろとありますよ」「仕事はストレスの塊です」­|そんな声が聞こえてくるようだが、そう言いたくなるのはよくわかる。

でも、ボクは「本当にストレスは仕方がないのだろうか?」とも思う。

30歳のとき、ストレスが重なって鬱になってしまったことがある。何週間も布団から出られなくなった。さまざまな手法を使い、なんとか立ち直って今日があるのだが…。

新型コロナウイルスのこともあり、真剣にストレスに関して研究してみた。事の発端は、前号で紹介した「どうしたら幸せになれるか?」について考えているとき。「そうだ、ストレスをなくそう」と頭に浮かんだのだ。

そこでボクは、自然環境が原因のストレス以外は、全部排除しようと決めた。雨や雷、寒暖差、地震、噴火、洪水、台風などなど。これらは自分でコントロールできないので、考えても仕方がない。あとは、病気や怪我。これは人間だけでなく、野生動物でも起こる。

でも、それ以外はどんどん排除すると決めた。すると、考え方がまた変わった。ストレスを徹底的に排除することで、「余分なことだらけだな」と感じるようになったのだ。

つまらない仕事は引き受けないとか、ワクワクしないことはしないとか。ストレスがかかりそうなことは、どんどん排除する。

当初は「そんな考えだと、所得が下がってしまうかな?」と心配していたが、下がらなかった。先ほども、無駄なミーティングの依頼が来たので却下した。仕事のギャランティの交渉なども、どんどん排除だ。

これを繰り返しているうちに、「ストレスを捨てる」ということが、「幸せに一歩近づく」ということだとわかった。

さらに、ストレスになるような人に会わないということも決めた。

すると、どうだろうか? 幸福の度合いが増したのである。「誰もがそうできるわけではない」「そんな自由奔放だったら社会が成り立たない」と思うかもしれない。たしかに、以前までのボクもそう思っただろう。でも今は「まあ、誰かがきっと社会を支えてくれるさ。1億人以上もいる国だし」とポジティブに捉えている。

ストレスの種は、日常のあちこちに落ちている。部屋が汚いとか、チームメンバーの仕事が遅いとか、物事がうまく進まないとか。でも、最初から“うまくいかないもの”だと思ってチャレンジし続ければ、幸せはやってくるだろう。そのために、ボクは今日もストレスを捨て続ける。

 

人生ではじめて、くじで一等賞が当たる。運がいい。

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。