アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第42回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

“時給10万円”の働き方

新型コロナウイルスの影響で「リモートワーク」が話題になっているが、普段の仕事のやり方をそれに合わせるのは無駄だ。

「何でも常に進化だ!」と思っている。ボクが経営している会社はとても小さい。だから、テクノロジーの力を借りて進化を遂げる必要がある。

テレビ東京に「カンブリア宮殿」という番組があるが、今から約5億年前に生物が爆発的に発生した大きな変化の時期のことを「カンブリア紀」と呼ぶ。ゴキブリが登場したのは、およそ3億年前と言われている。すばしっこく動き、環境に対応し続けてきたからこそ、現在でも生きているのだ。多分、人類が滅亡してもゴキブリは生きて、進化し続けるだろう。

そんな風に進化することが必須だと、ボクは思っている。そのために、毎日改良し続ければならない。だから、すばしっこく移動できるように、ボクはMacBookプロとiPadプロを活用している。会社の従業員にはiPhoneを支給しているし、スラックやチャットワーク、ズームにマイクロソフト・チームスなど、使えるものは何でも使う。

電話は20世紀の道具であり、無駄である。現代では非同期で仕事をすることが常識だ。リモートワークのために、先日従業員にエアポッズプロ(AirPods Pro)を支給した。良質なツールがあれば、モチベーションも上がるだろう。

会社に行くという行為も無駄だ。会議だってズームを使えば済む。ツール側に自分を合わせて、「火星に住んでいる人と仕事をしている」と思えばいい。脳を切り替えるのだ。

以前、オフィスを作ろうと思った。ワンルームマンションを借りるか? それともシェアオフィスにして人件費をアップさせるか? 従業員に相談したところ、彼らは人件費アップを望んだので、後者にした。契約しているシェアオフィスは従量課金制で、毎月の賃料は現在10万円を切っている。それに、都内に10箇所以上も展開しているので、好きな場所を使える。交通費は使った分だけ支給しているから、定期代を固定で支払うよりも安い。タクシーも、どんどん乗っていいことにしている。従業員が電車移動中にウイルスに感染して苦しんだり、夜道で誘拐されて殺害されてしまうよりも、そのほうが断然安心できるから。

これからは「効率」の時代である。プロと単なる会社員との差はますます広がるだろう。プロは年収がどんどんアップする可能性がある。自宅でも近所のカフェでも、どこでもいいから仕事をして、結果を出せるのがプロ中のプロである。時間がいちばん大切だ。

だから、できる限り短時間で済ます。ボクは「時給10万円」が最低ラインだと考えて仕事をしている。この原稿も、執筆に20分も掛からない。

映画を見るのも、遊びに行くのも、寝るもの仕事だ。夢で見た事柄が、現実に企画になったことは何度もある。睡眠中に数百万円を生み出すことは結構ある。だから従業員に言う。「できる限り短く仕事をして、遊べ。そうすれば、時給10万円、30万円、100万円も夢ではない」と。

元スターバックスCEOの岩田松雄さんが日産で働いていた頃、車体の生産工場を見学した際に上司から「火花が散っている瞬間だけが、この工場で本質的に価値を生み出している」と言われたという。ボクの仕事も、アイデアが浮かぶ一瞬だけである。溶接で火花が出ている瞬間とまったく同じだ。

そう考えると、「新型コロナウイルスのせいで」という考え方はない。なんでもいいから効率良く時間を作ることに集中するしかない。とにかく、テクノロジーに頼って、効率化をさらに進めて、進化し続ける。ゴキブリのように。

 

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長時間労働で良いことは一つもないと思う。

 

 

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EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。



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