来週、僕はドライバーを替える。
昔から二股ができない性分だった。
新しいことをする場合に、使用しなくなるものは完璧に排除されるべきだと考えてしまう。例えば、交際中の女性がいるのに別の女性を好きになり、その女性にアタックしようとする。要領よくやれる人なら、保険として交際中の女性はそのままにして、別の女性にアタックをするのだろう。アタックに成功すれば、保険を解除する。
アタックに失敗すれば、何事もなかったように元の相手に戻る。
僕は違う。まず、交際相手と別れる。それから、新たな相手にアタックする。
ただそれだけのこと。
のりしろのように重なる部分がある思い出なんて、結果に関わらず滑稽なだけだと思う。
愛用していたドライバーはとても気に入っているもので、替える理由も単に新しい別のドライバーに惚れてしまっただけであり、それこそ予備用として持っていれば良いのであるが……
僕は今日のラウンドが終了したら、このドライバーを友人に譲ると約束していた。
今日でこのドライバーとお別れである。
僕は誰に言うことなく、一人でセンチメンタルな気分になっていた。
特別にナルシストではなくても、そういう時は誰にでもある。
その日の最初のドライバーショットは、軽いドローでフェアウェイに飛んでいった。いつものボールだ。
最後の日でも普通に仕事をこなすドライバーに感謝したが……
3番ホールで異変は起きた。