【第2回】こよみちゃんとフウモ(2) | マイナビブックス

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こよみちゃんとフウモ

【第2回】こよみちゃんとフウモ(2)

2016.09.30 | じゃいがも

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 フウモは悲しくて悲しくて、泣きました。

 こよみちゃんの所に帰りたくて、ポロポロ、ポロポロ泣きました。

 すると、フウモの隣に捨てられていたクマのぬいぐるみが、話しかけてきました。

  

「何で、そんなに泣いてるの?」

  

 フウモは、泣きながら言いました。

  

「僕、大好きなこよみちゃんに、捨てられちゃったんだ」

  

 ポロポロと泣くフウモに、クマのぬいぐるみは言いました。

  

「そんなの、どうでも良いじゃないか。僕らみたいなぬいぐるみは、人間のお友達とたくさん遊んだご褒美に、人間に生まれ変わる事が出来るんだ。きっと夜になれば、神様が僕達を迎えに来てくれるよ」

  

 その後も、ゴミ捨て場には、たくさんのおもちゃやぬいぐるみが捨てられていきました。

 でも、みんなとても嬉しそう。

  

「僕は、男の子に生まれ変わって、サッカー選手になるんだ」

  

「わたしは女の子に生まれ変わって、ケーキ屋さんになるわ」

  

 と、ゴミ捨て場は大賑わい。

 やがて夜になり、辺りがしいんと静まり返ると、突然ゴミ捨て場がぱぁっと明るくなり、空から神様が降りてきました。

 神様は、ゴミ捨て場のぬいぐるみ達を、ひとりずつ天国へと連れていきました。

 天国で、人間に生まれ変わる準備をするのです。

 ひとり、またひとりと天国へと登ってゆき、ついにフウモの番になりました。

  

「さぁ、フウモ。一緒に天国に行き、人間に生まれ変わる準備をしよう」

  

 そう言うと神様は、フウモと手をつなぎました。

 でも、フウモは天国に行こうとしません。

  

「僕、天国には行きたくない。人間に生まれ変われなくてもいいから、こよみちゃんと一緒にいたい」

  

 一向に天国に登ろうとしないフウモに、神様は言いました。

  

「もう一度、こよみちゃんに会わせてあげる事は出来る。しかし、そうすると、フウモは人間に生まれ変わる事は出来なくなる。この世から消えてしまうんだ。それでもいいかい?」

  

 フウモは、頷きました。

  

「それでもいい。もう一度、大好きなこよみちゃんと遊びたい」

  

 神様は仕方なく、特別にフウモをこよみちゃんの夢の中に連れて行く事にしました。

 夢の中では、フウモは自由に動く事ができ、言葉も話せます。

 フウモは大喜びし、夢の中で、こよみちゃんとたくさん遊びました。

 寂しかった時間を忘れるくらい、たくさん、たくさん遊びました。

 二人が仲良しだった、あの頃のように。

  

 でも、夜が明け、こよみちゃんが夢から醒める時間になると、遠くから神様の声が聞こえてきました。

  

「フウモ、おしまいの時間だ。戻っておいで」

  

 フウモは立ち上がると、こよみちゃんに言いました。

  

「こよみちゃん、今まで本当にありがとう。僕、こよみちゃんのこと、大好きだったよ。さようなら」

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