【第3回】こよみちゃんと、くろねこもんちゃん(1) | マイナビブックス

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こよみちゃんとフウモ

【第3回】こよみちゃんと、くろねこもんちゃん(1)

2016.10.24 | じゃいがも

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「もんちゃん嫌い! あっちへ行って!」

  

 こよみちゃんは、黒猫のもんちゃんに言いました。

 もんちゃんは、こよみちゃんが幼稚園から帰ってきたのが嬉しくて、こよみちゃんにすり寄ったのです。

 もんちゃんの首輪の鈴が、チリンチリンと鳴りました。

 でも、こよみちゃんはもんちゃんが大嫌い。

 大きな声を出して、もんちゃんを追い払ってしまいました。

  

 もんちゃんがこよみちゃんのお家に拾われてきたのは、去年のことです。

 まだ赤ちゃんだったもんちゃんは、頭を撫でようとしてきたこよみちゃんに驚き、こよみちゃんの手をひっかいてしまいました。

 それからこよみちゃんは、もんちゃんの事が大嫌いになったのです。

 こよみちゃんに大声をだされたもんちゃんは、悲しそうな顔をし、どこかへ行ってしまいました。

 鈴の音が、チリンチリンと遠ざかっていきます。

 ママは、こよみちゃんに「もんちゃんは、こよみが大好きだから、遊んでほしくて近寄ってくるのよ」と困った顔でいいました。

 でも、もんちゃんが遠くへ行って、こよみちゃんはホッとしていました。

 また、もんちゃんにひっかかれたらと思うと、とても怖くなるのです。

  

 次の日のこと。

 幼稚園から帰ってきたこよみちゃんの足元に、もんちゃんが近付いてきました。

 いつものように、こよみちゃんにすりつこうとしたのです。

 しかし、こよみちゃんは足元のもんちゃんに気付かず、間違えて尻尾を踏んでしまいました。

 もんちゃんは驚いて、思わずこよみちゃんをひっかきました。

 こよみちゃんは、わぁわぁと泣き出し、もんちゃんに言いました。

  

「もう、もんちゃんなんて大嫌い! いなくなっちゃえ!」

  

 それを聞いたもんちゃんは、とぼとぼとどこかへ行ってしまいました。

  

 そしてその日から、もんちゃんはお家に帰ってこなくなりました。

 こよみちゃんのパパとママは、大慌て。

 迷い猫の貼り紙を作り、名前を呼びながらあちらこちらを探してまわりました。

 でも、こよみちゃんは知らん顔。

  

(もんちゃんなんて、見つからなければいいのに)

  

 こよみちゃんは、もんちゃんがいなくなり、ホッとしていたのです。

  

 でも、それから一週間もすると、こよみちゃんもだんだんもんちゃんの事が心配になってきました。

 パパとママと一緒に貼り紙を作ったり、一緒にあちらこちら探してまわったり。

 それでも、もんちゃんは帰ってきませんでした。

  

(こよみがいなくなっちゃえなんて言ったから、もんちゃんは帰ってこないんだ)

  

 こよみちゃんは悲しくなり、ぽろぽろと泣きました。

  

 そんなある日、こよみちゃんがもんちゃんを探していると、後ろからチリンチリンと鈴の音が聞こえてきました。

  

(もんちゃんだ!)

  

 こよみちゃんは、とっさに振り向きました。

 でも、そこには、こよみちゃんと同い年くらいの女の子が立っていました。

 女の子は、にこにこと笑いながら、こよみちゃんに近付いてきました。

  

「あなたは、だれ?」

  

 こよみちゃんは、女の子に言いました。

 でも、女の子は答えません。にこにこと笑ったまま、こよみちゃんの服をつかむと、走り出しました。

 こよみちゃんはびっくり。

 慌ててこよみちゃんも走り出しました。

 女の子はとても足が速く、こよみちゃんは何度もころびそうになりました。

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