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ソーシャルゲーム・コンテンツ別徹底分析

【第3回】第2章 ソーシャルゲームのコンテンツ別の男女比とは?

2016.09.01 | 光井誠一(株式会社ゲームエイジ総研)

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当社が毎月発行している『Monthlyゲーム・トレンド・レイティング』では、SNS別の動向や、それぞれの主要コンテンツ別のアクティブユーザーを月次でトラッキングしたデータを掲載している。今回は、その最新データとなる2012年9月度のデータの中から、ソーシャルゲームコンテンツによる男女比の違いについて分析してみたい。

 

ゲームプレイヤー数ではMobageとGREEがダントツ

 

 

【図1】は、主要SNS(Mobage/GREE/ハンゲーム/mixi/Facebook/アメーバピグ)の、2012年9月のMAU規模と男女比を示したものである。なお、円グラフの大きさは各SNSのユーザー規模に合わせてある。

最もMAU規模が大きかったSNSは、413万人のMobage。2位は299万人のGREEで、昨今のソーシャルゲーム市場を牽引する、ゲームサービスを主体とした2大SNSが他の4つのSNSを大きく上回っている。

 

コミュニティ系SNSの方が女性ユーザーの比率が高まる

 

当社ではこのMobageとGREE、それからハンゲームを含めた3つを“ゲーム系”SNS、それ以外を“コミュニティ系”SNSと分類しているが、“ゲーム系”については、それぞれのMAU規模は異なるものの、いずれも男性ユーザーの比率が高いという共通点がある。やはり、カジュアルな内容のものだけではなく、アクションアドベンチャーやシューティング、MMORPGなど、幅広いジャンルやゲーム性の高いタイトルを展開しており、これがゲーム先行性の高い男性ユーザーのアクティブ率を引き上げていると言えるだろう。

その“ゲーム系”とは成り立ち・特徴が異なる“コミュニティ系”SNSでは、アクティブゲームユーザー数の点では、最大のmixiでも222万人と、その規模はひと回り小さくなる。また“ゲーム系”と大きく異なる特徴として、女性ユーザー比率の高さが挙げられるだろう。ビジネスツールとして利用されるシーンも多いであろうFacebookだけは、過去一年を見ても男性比率60%前後で推移しているが、mixiとアメーバピグは女性ユーザーが50~60%を占めており、いまも徐々に女性比率の増加傾向が続いている。

ここまで見てきたように、SNSのMAUと一口に言っても、ユーザーの性別や年齢構成など、それぞれが特徴を持っていることがわかった。そこで、次はSNSプラットフォームから一段階深く掘り下げ、ソーシャルゲームコンテンツにおけるユーザー構成の違いという視点でデータを分析してみたい。

 

野球とサッカーのゲームはどちらも男性に支持されるが、年齢層に大きな違い

 

 

当社は、定番や新作を織り交ぜて毎月約40タイトルのソーシャルゲームコンテンツを調査している。【図2】は9月度に有料・無料を問わずプレイされたゲームコンテンツの中で、性別構成に極端な偏りが見られたものをピックアップし、そのユーザープロフィールをまとめたものである。

まず左側、男性寄りの3タイトルは、いずれもスポーツ(野球・サッカー)を題材にしたものとなっている。男性ユーザーの比率はいずれも80%~90%に達し、それぞれ45万人から60万人強というMAUを獲得している。また、男性を中心にしているということもあり、いずれも[イノベータ(ゲーム専用機ユーザーの中でも特にコアなユーザー)]の比率が最も高いという共通点が見られる。

異なるのは年齢構成で、題材そのものの人気や受容層を反映しているせいか、『FIFAワールドクラスサッカー』が10代後半を中心に若年層に拡がりを見せているのに対し、『大熱狂!! プロ野球カード』『プロ野球ドリームナイン』は、分布傾向に多少の違いはみられるものの、共に30代を中心とした構成となっている。
これら3つのコンテンツは男性比率が高いという点は共通しているが、更に掘り下げて、年齢分布やMAU、課金率、ARPPUといったKPI別に見ていくと、それぞれの数値にIP個別の特徴があり、従ってビジネス全体の状況はそれぞれ異なっているものと考えられる。

次にグラフ右側の3タイトルに注目したい。こちらは女性比率が非常に高いコンテンツである。
いずれも人気キャラクターを冠しているという共通点に気付くが、キャラクターコンテンツでありながら、意外にも10代ユーザーの構成比が小さいという点も共通している。これは、ゲームをプレイするための携帯電話やスマートフォン、PCなどの機器/端末を、自分専用として所有しているか否か、また登録や課金/決済を個人の判断で出来るか否かといった制約条件が影響しているのではないだろうか。それ以外の共通点はそれほど顕著ではないが、敢えて言うなら、マジョリティ層とゲーム専用機非所有者の比率が高い点であろう。

個別に見解を述べると、『ディズニーパーティ』のユーザーはイノベータ寄りの構成になっているが、その中心層は20代から30代前半で、ゲーム専用機ユーザーの中心世代とも重なっており、ゲーム先行性の高いユーザー比率が高くなっているということが考えられる。また『スヌーピーストリート』も中心層は『ディズニーパーティ』と同じだが、それより若干高齢者の方に拡がりがある。やはり歴史のあるほのぼのとしたキャラクターであるので、年配者でもプレイしやすいのかもしれない。最後に『ピグライフ』だが、こちらは30代を中心とした世代に厚みのある構成となっている。やはり“コミュニティ系”SNSであるアメーバピグ会員がベースであるので、情報発信力の高い[ブリッジピープル]の比率が特に高いようだ。

これらはほんの一例だが、共通の題材や似通ったジャンルのコンテンツでも、性別/年齢や、IPS構成といった基本的なデモグラフィクス属性に着目するだけでも様々な特徴を見出すことができる。もちろん、ゲームビジネスにおいてビッグデータの解析やKPIが重要な判断要素であるのは言うまでもないが、それらの数値にとどまらず、その先にある、その数値を構成しているユーザーの“顔”にアプローチし理解することが、ゲームサービスにおいても重要なポイントとなるのではないだろうか。

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