【第4回】八百留の話(2) | マイナビブックス

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迷宮へようこそ ~ホロ苦く、滑稽で、奇妙な七つの物語~

【第4回】八百留の話(2)

2016.08.23 | 武山博

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【第2回】八百留の話(2)


そんなわたしの思いを無視するように、そのうち老人は、こんな風に身の上を語り出したのでした。
――あたしの生まれは埼玉の農家でね。五男三女のドン尻。親がもう子供はいらないというので、名は留吉。家業が嫌いで東京にとび出して来たが、百姓の小倅になにが出来るかといってもアテがあるわけではない。分かっていることといえば、野菜とか、土から出来るものだけ。そんなわけで、初めは八百屋へ奉公したもんです。

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