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【第2回】物語のはじまり(わたしの家族)

2016.06.06 | 内田宰良

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物語のはじまり(わたしの家族)

 父と母はいわゆる団塊世代である。学生時代の同級生ということで今年2009年に60歳になる。夫婦仲はあまり良くない。実のところはわたしにもよく分からない。二人は会話もあまりないし一緒に出掛けることもない。そういう状況を傍から見ててそう感じている。

 わたしは『  』という名前でこの家の末っ子だ。上に兄と姉がいる。すぐ上の姉から両親のことを聞いたことがある。

「あのふたり熟年離婚するかもしれないわよ。来年の3月が山ね。退職金離婚というやつよ。まあわたしたち兄弟は一応成人したから好きにしていいって感じだけどね」

 その話を聞いたときわたしは背筋が凍った。とても寂しかった。今30歳の兄は職場結婚してお嫁さんの実家の近くのマンションに住んでいるし、27歳の姉はフリーターとできちゃった婚で我が家の近くのアパートに住んでいる。

 今この家では両親と25歳のわたしの3人暮らしだ。

姉の話が現実になれば5人家族は完全に空中分解する。

そうでなくてもわたしには婚約者がいるので近いうちにこの家族はばらばらになる。

 正直わたしは父も母も好きだ。子供のころ休日にはよく家族5人で出掛けた。遊園地や動物園それから海水浴や温泉にも行った。

「『  』ちゃんは将来何になりたいの?」

「パパやママのような大人になりたい」

 両親からの問いかけに子供のわたしはそう答えた。

 父は長年サラリーマンで55歳のときに嘱託になり元の会社の関連会社に転出した。仕事一途で真面目人間と思うけど頑固で融通が利かないところがある。

 母は明るく社交的で地域のボランティアなどの活動をしていてそこで知り合った友達同士でよく旅行に出掛けている。そういえば母から聞いたことがある。

「わたしの友達は離婚した人が多いのよ。みんな身軽になって明るい人が多いのよ」

 姉からの話が現実味を帯びてくる。ところがそういう姉自身が問題を抱えているのだ。赤ちゃんを抱えて旦那の収入も少なく夫婦生活は破綻寸前なのだ。

 わたしも数年前は苦しかった。就職が決まらず就活に青息吐息だった。やっと入社した中小企業も不況のあおりで先月リストラを実施した。次は自分の番だと思うとまたあの就活の悪夢が甦ってくる。

 それに今の職場の人間関係も悩みの種だ。同僚に意地悪おばさんがいるのだ。わたしのやることにいつも文句をつける。あんなやつと一緒に仕事をするのは嫌だと思うけど当分は我慢するしかない。

〈マイワーク〉

 

○あなたの現実の家族などの現況を確認しましょう。現在のあなたが主人公の人生舞台の主要登場人物の名前を記入します。

 

 ○わたし 『   』   ○友人   「   」

 ○父親  「   」   ○友人   「   」

 ○母親  「   」   ○友人   「   」

 ○兄弟  「   」   ○先生   「   」

 ○兄弟  「   」   ○職場の人 「   」

 ○配偶者 「   」   ○職場の人 「   」

 ○子供  「   」   ○その他人物「   」

 ○子供  「   」   ○その他人物「   」

 ○恋人  「   」   ○その他人物「   」

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