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【第1回】プロローグ

2016.05.24 | 内田宰良

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プロローグ

 この本は独特な構成をとっています。

 すべての人に訪れる死から出発して誕生から現在に至るまでの道のりを振り返ってみる「わたし」の物語です。

 『わたし』は読者であるあなたです。

 物語はある家族の日常から始まります。その物語はあなたの日常の出来事を思い出していただくための参考として展開するフィクションの物語です。主人公もその家族の3人兄弟の末っ子に設定していますが、この本の真実の物語の主人公は読者であるあなたにほかなりません。

 『   』の空欄にあなたの固有名詞を入れて読んでください。家族や友人間の場面ではファーストネームを、それ以外の場面ではファミリーネームを入れていただくのが自然でしょう。フィクションの後にすぐにマイワークが始まります。それが『   』物語の始まりです。

 

 この物語のキーワードは二つあります。ひとつは「セルフウオッチング」であり、もうひとつは「ライフレビュー」です。

 「セルフウオッチング」とは自分自身の行動と意識を客観的に観察することです。臨死体験をした人がこの世に舞い戻ったときによくする話を聞いたことがありませんか。自分が亡くなったときベッドに横たわっている自分の姿を部屋の天井あたりからもうひとりの自分が眺めていたという話です。まさにそのように自分自身を観察することです。

 「ライフレビュー」とは人生の振り返りです。これも同様に臨死体験をした人からよく聞く話です。亡くなった直後に自分の誕生から死までの人生の全行程を走馬灯のように映像で見たという話です。まさにそのように人生を振り返ることをいいます。

 そして臨死体験をした人がその後の人生を劇的に変化させたということが多数報告されています。それぞれの分野で自信をもって人生を歩みだしたということです。

 そうです。このふたつのキーワードをあなたの人生の場面に当てはめて今実践しようということです。人間の心の浄化はこのふたつの行動によってもたらされます。

 あなたの心の中は、身体の中にある宿便のようにこの人生で積もり積もった毒素が蓄積しています。その毒素はわたしたちの本来もつオールマイティな意識を曇らせ、対象物を歪んで見させるのです。

 その結果、正しい思考を妨げ、勇気ある行動を鈍らせるのです。

 

 あなたは仮にたった今死亡したとします。その前提で亡きあなたの意識が遡って人生をフィードバックしてみます。そうすることによってあなたの人生の全貌が客観的に見えてきます。

 あなたの誕生から死に至るまでの全人生の中で抱え込んでしまった不必要な毒素を確認し取り除くために日常の出来事を振り返ってみましょう。

 

 日々のあなたの振る舞いをもうひとりのあなたが観察します。そのもうひとりのあなたはただ黙って日常のあなたを見守るだけです。人間関係に苦しむあなたや子育てに悩むあなたに手を差し延べるわけでもありませんし、助言をするわけでもありません。

 ただあなたの頭上から見守っているだけです。

 その眼差しから目に見えない光が照射されています。その光があなたの心に生じている貪(トン)、瞋(ジン)、痴(チ)の三毒を制御します。あなたの悩みと苦しみの元凶である三毒の存在をあなた自身が認識できるようになることが先決なのです。

 あなたの最大の味方はあなた自身です。決して他の人ではありません。親兄弟でも配偶者でも恋人、友人でもありません。最大、最強の味方はあなた心の内奥に存在しているもうひとりのあなた自身なのです。

 

 あなたの物語を辿りながらもうひとりのあなたが静かにあなたを観察しているという意識を保ってください。

 あなたはその過程で感情が高まり涙が溢れてくるかもしれません。そうなったらそのあなたの感情も一緒に観察してください。もうひとりのあなたは常に客観的で冷静です。主人公のあなたが喜怒哀楽の感情を表現しながら演ずる人生舞台をただ見守り続けます。

 そのときにあなたは人生を生きていく上で最も大切なことを思い出します。あなたはひとりではなく家族においても職場においても友人間においてもあるいは希薄な人間関係の中においてもあなたは誰かに支えられて生きてきたということです。

 その瞬間に最大の気づきを得ます。心からその気づきを体得した人は人生の勝利者といっていいでしょう。

 その気づきというのは「感謝」という言葉で表現されます。

 このことを体得した人からは心の三毒は生じません。

心の中に巣食っていた三毒は消え去ります。これは単なる言葉として頭の中で理解するということではありません。心の内奥にある魂が揺さぶられる如く体得するのです。外から教えてもらうのではなく心の内奥からの気づきであることが必要なのです。

 

 もうひとりのあなたのことを真我といい、人生舞台の上で行動するあなたのことを自我といいます。

 物語が進むにつれもうひとりのあなたがあなたを完璧に支えてくれていることを思い出します。

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