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「ここだけ」にしたくないゲームの話

【第1回】第1章・これでいいのか? 東京ゲームショウ 1-1:ゲームショウなのにゲームができない!?(1)

2016.03.18 | 鴫原盛之

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毎年恒例となっている、CESA(社団法人コンピュータエンタテインメント協会)などが主催する「世界最大級のゲームショウ」(※1)こと「東京ゲームショウ」が、2010年も9月16~19日までの4日間にかけて幕張メッセにて開催されました。
※1 「世界最大級のゲームショウ」:主催者が使用しているキャッチコピー。

「東京ゲームショウ」とは、毎年秋に主として家庭用ゲームのメーカーが最新作を出展し、これを来場者が自由に手にとって遊べるようにしているイベントのことで、日本はもとより海外からも多くの人が訪れます。メーカーによってはブース内にステージを設置して、ゲーム開発者や作品中に登場するキャラクターのボイスを担当した声優、あるいはゲーム好きの芸能人をゲストに招いてトークショーやライブなどのイベントを行っているところもあります。また近年ではUstreamやTwitterを使用してブース内の様子を生中継し、会場に来られない人にも積極的に出展情報を配信するメーカーも少なくありません。


「東京ゲームショウ」会場風景(2010年撮影。以下同)

CESAの発表によりますと、2010年の「東京ゲームショウ」の入場者は4日間のトータルで歴代最高となるおよそ20万7千人。2009年が約18万5千人ですから、前回よりも実に2万人以上も増加するという盛況ぶりでした。とりわけ、お金を払えば誰でも入場できる一般公開日の18日(土)には8万1千人、19日(日)は7万7千人もの入場者を集め、朝から終日ものすごい混雑となりました。筆者も取材のため会場にいましたが、場所によっては通路上にも人があふれてなかなか先に進めず、取材先のブースがある場所までたどり着くのもひと苦労でした。

筆者は会場の様子を取材するメディアとしての立場だけでなく、以前某メーカーに勤務していたときは出展者としても参加した経験があり、ゲームショウにはかれこれ十年以上通い続けています。そして今年も取材のため4日間会場に足を運んだ結果、長年疑問に思い続けてきたことがついに確信するまでにいたりました。

その疑問とは……もはや東京ゲームショウは、キャパシティの限界に達しているということです。

前述したように、場所によっては会場内を歩くのも困難になるほど混雑するのは今に始まった話ではありません。特に人気シリーズの続編タイトルが出展されたり、あるいはステージイベントで人気のタレントや声優を出演させようものならブースの周囲にはものすごい人数が集まります。今年のショウでは、前評判の高かったカプコンの「モンスターハンターポータブル3rd」の出展コーナーには、初日のビジネスデイ(※2)からすでに1時間以上の待ち時間ができるほどの大行列となり、18日の一般公開日に行われたバンダイナムコゲームスの「アイドルマスター2」のステージイベントには、なんと千人(!)ものファンが駆けつけたそうです。
※2 ビジネスデイ:商談を目的とする業界関係者、および報道関係者のみが入場できる開催初日と2日目のことを指します。一般客が入れる3日目と4日目は一般公開日またはパブリックデイなどと呼びます。

またビジネスデイにおいては、入場希望者は事前にインターネットで登録の手続きをするシステムになっていたにもかかわらず、いざ会場に着いてみるとスタッフが申込者本人であることを確認する作業のため、入場前から20~30分待たされた人もかなりいました。これではいったい何のための事前登録システムだったのか、あまり意味がなかったようにも思えます。ただでさえ場内は混雑するのにこのような対応をされてしまっては、せっかく忙しいスケジュールの合い間をぬって時間を調整してきたみなさんにとっては正直たまったものではないでしょう。

一般公開日となる3~4日目になると、主に大手メーカーのブースでは1本のゲームを遊ぶために1時間以上待つなどというのは当たり前で、人気タイトルの場合は「2時間以上待ち」などと書かれたプラカードを持ったスタッフが行列をさばく光景も珍しくありません。実際に一度でも会場に行かれたことがある方ならおわかりになると思いますが、人気ソフトの置かれたコーナー付近を歩いているときは、まるで満員の通勤電車の中にいるような窮屈さで、冷房の風すらほとんど感じられないほどに人が密集して非常に蒸し暑くなります。押し寄せる人の波を泳ぎ切り、ようやくお目当てのゲームがある場所にたどり着くだけでもひと苦労なのに、そこからさらに1時間も2時間も立ったまま待たされるのは実にタイヘンです。朝から夕方まで終日このような状態が続きますから、1日会場を回るだけでもかなりの疲労がたまります。
ちなみに筆者は、数年前にビジネスデイの2日間でおよそ40タイトルを実際にプレイしてレポート記事を書いたことがありますが、当日どんなゲームを遊んだのか今となってはほとんど記憶になく、ただクタクタに疲れたことしか印象に残っていません。もちろん、このような取材はパブリックデイほど混雑しないビジネスデイだからこそ可能であって、もしパブリックデイだけで同様の取材をやれといわれた場合は、これだけのゲームを全部プレイするのはまず不可能なのでせっかくのお仕事でもやむを得ずお断りせざるを得なかったでしょう。
特に前評判の高い人気タイトルについては、事前に入場整理券を配ることでブース内の混雑緩和を図るメーカーも一部存在します。今年のショウに出展された作品では、カプコンの「モンスターハンターポータブル3rd」やSCEブースの3D立体視体験コーナーなどがこれに該当し、会場内に共通の整理券配布所を設ける形で対応していました。
またイベントステージの前には、会場直後から有名タレントをひと目見ようと開始時間よりもかなり前からスペースを確保してじっと待っている人もよく見かけます。特に人気のアイドルや声優が出演するイベントともなると、人がブース内に入り切れず通路にまであふれてしまうこともままあります。

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