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ゴルフプラネット 第35巻

【第2回】凍った芝生の上で

2016.04.13 | 篠原嗣典

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凍った芝生の上で

 

 温暖化が嘘のような寒さが続く。

 

 昨年はティーグランドも凍らなかったのでお世話にならなかったティーを刺す穴を開ける道具にもお世話になるシーンがある。まあ、冬だからと安心する反面、どうにかならないかなぁ、とも思う。

 

 ブログを見てくれた人は知っているだろうが、置くタイプのティーのテスターをした。刺す必要がなく、置くだけのなので楽ちんである。

 

 壊れないように丈夫にできているのに、ドライバーなどが傷つかないように柔らかい素材を使っている。形状も、ティーが遠くまで飛んでしまわないような工夫もされているのでなくならない。強いて言うと高さの微調整はできないので、2ミリ刻みの高中低の高さのサイズで合うものがあれば、とても優れていると思った。

 

 機能として2ミリほど高さを上げられるようになっているが、これはボールを置く部分が不安定になってしまうのであまり使えない。また、ポケットの中での存在感は思ったより感じない。

 

 当たり前すぎる感想で、テスター失格だなぁ、と思いつつ報告をした。

 

 テスターを頼まれることが多々あるが、多くは丁重にお断りしている。ラウンドを純粋に楽しみたいと思うからで、別のことに気を取られるのが嫌なのである。

 

 今回のティーに関しては、色々とそれまでの経緯があってやむを得ず引き受けたのだ。もちろん、無報酬で、ティーだけは無料でそのまま使ってくださいともらっただけである。ティーは買ったとしても金額にして数百円。交通費だけとっても完全な赤字である。

 

 2ラウンドのテストを経て、ティー以上に驚いたことことがある。真冬にもかかわらずゴルフ場に活気があるような気がしたことだ。

 

 この10年ぐらいは、真冬になるとゴルフ場はシーンとしていた。個人的には静かなゴルフ場は大好きなのだが、活気がないという寂しい気がしていたのも事実である。

 

 20年前のゴルフ場は真冬でもガンガンに活気があった。下手すると半端な季節より、真冬の方が厳しい中で熱いゴルファーが集まっているという感じで活気を生んでいたのだろうと思う。

 

 そんな活気を今年は感じた。昨年は、暖かい冬だったのでそれほどでもないが、今年はゴルフが好きというエネルギーが溢れていたような気がしたのだ。

 

 凍った芝生の上で、負けてたまるか、と自分にも励みになった。防寒用具で身を固め、歯を食いしばってプレーするのもゴルフであり、楽しい。

 

 ただ一つだけ困っているのは、ボールである。冬対策という名目でボールを変えたが、これがなかなか良いので、このまま暖かくなっても使いたいと思うほどなのだが(新しいバージョンに替わってしまいそうだが)、このボールが飛ぶのである。

 

 冬になるとボールは飛ばなくなるもので、今使っているボールもそれなりに飛ばなくもなっているのであるが…… 急に飛ぶようにもなるのだ。飛ばないつもりで打つと急に飛んだりするのは、計算がつかない。

 

 しかし、困っていると言いながらも、それはそれとして面白がっている。この謎を解き明かせば、武器になるかも知れない。まあ、多くの場合、謎が解けた頃には春で暖かくなってしまうものだが、楽しみながら謎解きをしようと思う。

 

 本当に寒いのはあと1ヶ月ぐらいだろう。春は確実に近づいている。クラブを振る阿呆に、振らない阿呆。冬のゴルフは、小さな幸せを探すには最高である。

(2008年1月31日)

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