【第1回】まえがき/気になる道具 | マイナビブックス

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ゴルフプラネット 第35巻

【第1回】まえがき/気になる道具

2016.04.11 | 篠原嗣典

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まえがき

 

 2008年は北京でオリンピックが行われた年です。

 ゴルフ規則の大改正がありました。段階的に施行されたドライバーの高反発規制が一般のプレーヤーを含めた全ての人に適用になりました。準備期間が十分にあったのに、大混乱しました。

 面白いことに、35巻には、そのときの騒動についてあまり触れていません。メーカーも販売店が、最低限の義務だけを果たして、静観を決め込んだので書きようがなかったのだと思います。

 また、調整機能付きのクラブ、いわゆるカチャカチャ系と呼んでいるクラブがルール上OKになったのもこの年ですが、市場に登場するのはまだ先のことです。

 

 個人的には2008年はゴルフの根幹を変えた年になりました。

 2番アイアンを抜いて、ハイブリッド(ユーティリティー)をバッグに入れました。段階的に話が出てきます。結果として、今の自分に繋がります。

 今では当たり前になっているハイブリッドのセッティングも、2008年の段階では未確定な雰囲気だったことに驚きます。たった数年で定着するというのは、用具として優秀である証明です。そういう裏読みまでしてもらえれば、35巻は本当に面白い話に溢れているはずです。

 

 自身のドライバーイップスが治りつつある話が、1年中出てきます。振り返ると、症状としては収まりつつも、影響としては最も酷かったのがこの年でした。

 

 この年から読者の層が少し変わった気がします。対応策として、誌面以外のところでCD-Rを使って技術系のレクチャーを切り離してするようになっていきました。

 読んで上手くなるというテーマに忠実でありたいと奮戦した1年を感じてもらえたら本望です。

(2014年1月)

 

気になる道具

 

 年が明けることなんてゴルファーには単なる節目じゃないか、と言う人がいる。そういう考えもあると思う。年が変わったからといって劇的にゴルフが変わるものではないことは十分に知っている。

 

 でも、例外はある。高反発規制に伴って用具を変えた人や、別の理由で用具を変えた場合である。用具によって、ゴルフは劇的に変わることはよくあることだからだ。

 

 私は現在のバッグの中に不満は一切ない。どのクラブも気に入っているので、新しい用具に変更する予定はないのである。年末年始で新しい用具が次々に発表されても、それは揺るぎないはずだった……

 

 ドライバーとパターやウェッジのような、スコアに直結しやすいものは、常に良いものを求めたいという気持ちも反面大事なことである。

 

 少し前から書いているが、ミズノのMPー600というドライバーには大いに関心を持っていた。試打したら買ってしまいそうだからと、試打する機会があっても構えるだけで打たないという涙ぐましい努力もしてきた。

 

 しかし、冬休みの間に事情が変わった。ミズノは原則としてフラッグシップモデルは、欧米市場モデルと日本市場モデルで仕様が違う。R&Aの高反発クラブの適合リストを見れば、MPー600はジャパニーズバージョンとそうでないものがあることがわかるので、確信はしていたが詳細を知ると欲しくなってしまうので、必死で制御していた。

 

 見ざる聞かざる言わざる…… それでも、情報は入ってきてしまうのである。MPー600も、米国市場で売られているものは、移動するウェイトが日本市場のものより重いという情報が入ってきた(日本市場のものは6グラム×2、欧米誌用のものは8グラム×2)。

 

 買うのなら欧米市場モデルと決めていた。単純に重くてハードな仕様になっているからだ。日本市場モデルを買っても、結局、重くしたりするのだから少しでも手間が省けた方が良い。

 

 頭の中で、色々なことを考えた。ヘッド重量からして、このシャフトを入れて、このぐらいのスペックにすればと予測しながら、ウキウキしてしまう。『危ない、危ない』と正気に戻り、自分の使用中のハイボアLXドライバーを取り出して、頬ずりする。決してお前のことを蔑ろにしたわけではない、と。

 

 ハイボアも新しくなるので、私が使用しているハイボアはマークダウンで2割ぐらいは値段が下がっている。新しいハイボアも気にならないわけがないし、現在のLXのツアーの方を安いから買って何かの際に使おうかなぁという作戦も頭を過ぎる。

 

 物欲大王がムクムクと立ち上がる。

 

 とは言え、冷静になればなるほど、今ドライバーを替えるべきではないという結論に全ての選択肢が辿り着く。期待が膨らんだりしぼんだりしながら、時間は過ぎていく。

 

 欲しい用具についてアレコレ考えることは楽しい。そういう意味で年末年始から春にかけての時期は最高である。買う人も買わない人も、想像するのは自由。さあ、一緒に楽しもう。

(2008年1月10日)

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