昭和10年(1935)
美濃部達吉の「天皇機関説」問題で大揺れに揺れた年で、軍部の突き上げにより、政府は「主権は天皇にあり」との声明を二度も発した。この年のヒーローは東京・渋谷の忠犬ハチ公と“暁の超特急”吉岡隆徳だった。
ワンサ・ガール
映画や演劇で端役しかもらえない女優を、わんさと出て来て、誰が誰なのかもわからないということから「ワンサ・ガール」と呼んだ。
喫茶店
酒類を扱わないカフェの呼び名として、「喫茶店」の名が定着。その中でも、レコード音楽を聞かせる専門店は“純喫茶”といった。
ハイキング
都市近郊の自然を歩くことが庶民のレジャーとして流行。これに目をつけた私鉄各社が「空高くハイキング」「さっそうとハイキング」などを謳い文句に乗客を誘致した。
芥川賞・直木賞
文藝春秋社の創立者・菊池寛は、友人であった芥川龍之介、直木三十五にちなみ、芥川賞、直木賞を創設。純文学の新人作家の優秀作に芥川賞を、大衆文芸作に直木賞を与えるものとし、新人の発掘と育成をねらった。
第1回授賞作は、芥川賞・石川達三『蒼眠』、直木賞・川口松太郎『鶴八鶴次郎』であった。
以後、この二賞は新人作家の登竜門として権威づけられ、現在に至る。