【第2回】第二章 幼稚園選び(1) | マイナビブックス

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台湾で子育て~幼稚園、学校選びと台湾での生活~

【第2回】第二章 幼稚園選び(1)

2016.01.28 | 山田美香

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台湾の現地の子どもが通う幼稚園への入園手続きは簡単である。幼稚園に連絡して見学を希望すればすぐに対応してもらえ、翌日から入園も可能な園が多い。少子化の中、どこの園でも園児獲得に懸命だ。事前に連絡しなくても、子どもを連れて、「見学させてください」と直接言っても、大体が歓迎してくれる。ところで入園は問題なくても、問題は子どもが幼稚園での生活に適応できるかということである。一般に台湾の幼稚園は、午前七時半―八時から夜六時―七時まで預かってくれる。日本より保育時間が長い。日本の保育園の保育時間帯と同じと考えたらいい。

日本で幼稚園を経験した子どもは台湾に来た場合、日本の幼稚園の先生の方が良かったと言うかもしれない。こーちゃんの場合は、二週間くらい毎日、「明日は幼稚園に行かない」と叫び夜遅くまでがんばって、ぐったり朝は起こさないと十時まで寝ていた。そのため最初は朝八時頃、寝ている子どもと幼稚園リュックを背中にかついでバス停に走った。しかしこーちゃんも、少しずつ台湾の幼稚園の面白い部分を見つけてきて、最初は幼稚園に行かないと泣いていたのが、二週間も経つと幼稚園に行く前は眠いだのなんだの怒っているが、結局幼稚園の門を入ると自分から喜んで教室に入っていくようになった。最初の二週間は本当に大変だったが、それは仕方がないかもしれない。

幼稚園の日本語コースは、先生も日本語、教室にいるお友達もすべて日本人という環境や、台湾人のお父さんと日本人のお母さんの子ども、台湾人の保護者の子どもも入っている場合がある。台湾人と日本人の子ども、台湾人の子どもも日本語を習いたいため、日本語コースに通っている。日本語コースはどちらにせよ、日本語が主体なので、言語面でもどかしさを感じることは子ども心にもないと言える。

一方、現地の幼稚園は幼稚園にもよるが、英語教育を積極的に取り入れている幼稚園、中国語を中心に台湾語も使う幼稚園、地方に行くとその地域の方言などを使う幼稚園もある。台湾の英語教育重視と地域の多様性を感じさせる。これは、国民小学(小学校、国民中学は中学校)でも郷土言語を学ぶことが二〇〇〇年から必修化されたことと関係がある。しかし多くは中国語を使う。

そのため台湾の幼稚園に入園するのであれば中国語以外に重視される言語は何か、幼稚園教師の資格の有無、学費がいくらか、見学した時の子どもの様子、給食の内容、園児の状況を見て決めるのがいい。教育方法はイタリアのモンテッソーリやレッジョ・エミリア方式のほか、主題活動を取り入れたものなど教育理論がしっかりあるところが多い。

日本の幼稚園と違い、少子化のなか、教具にもお金をかけ競合する幼稚園が多数ある。先生が子どもの知能開発にも貢献しそうな教具を作成し、何百ものバリエーションを持っている幼稚園もある。教育方法も多様性があり、小学校教育を先取りしたものというより、子どもの興味から教具を使って系統的に教育を行う幼稚園が多く、人気も高い。

もし客観的に幼稚園の評価を知りたければ、中国語になるが、各所在地の教育局のホームページを見るといい。そこにはすべての幼稚園の評価結果が出ている。どの幼稚園の評価が良くて悪いのか一目瞭然だ。教育局と専門家のチームで、施設の整備から年間計画、日案(デイリー・プログラム)などの教育課程と日々の保育の状況、事務室の文書の保存などがチェックされる。

そのため幼稚園評価がなされ、幼稚園は保育の実践内容もすべて保存せざるを得ず、その分、負担が増えたとも言われる。ただ、評価の結果がどこまで日本人の幼稚園入園に役に立つかは分からない。一度最も低い評価を得た幼稚園に参観したが、人情味があっていい幼稚園だった。しかし施設が古く、福祉的な幼稚園で教育的な部分が少ないという点が点数を低くしたのかもしれない。

幼稚園入園

 

・施設はきれいか、園庭は広いか?

・先生は資格を持っているか?

・交通の便はいいか、周囲の環境は悪くないか?

・登園、降園の時間。特に降園の時間に柔軟に対応してもらえるか?

・毎日の保育、月案(一ヶ月の教育計画)、年間計画などがしっかりしているか?その園の特色ある教育のために必要な教育を行っているように思えるのか?

・学費、入園費用、制服・体操服・給食用食器代金など

・遊具

インターネットなどで園を調べたり、園長や主任の先生と話をしたり、園児の状況、園内の壁面などがどのようになっているのかを見て、先生方の教育観、熱意などを図るのがいい。一番重要なのは、子どもの発達段階に合わせて、子どもの気持ちや能力を生かした教育を行っているのかをみることである。

台湾の日本人幼稚園

 

台北の場合、日本の学校法人が経営する幼稚園が多くある。

・台北白百合学園国際幼稚園学部

http://home.so-net.net.tw/cuteevelyn/index.html

・博如日本幼児園

http://www.hiroka.com.tw/recruit/

・愛育ネット ー日本子ども家庭総合研究所 (略称:子ども総研)

http://www.aiikunet.jp/practice/education/12495.html

・東進幼稚舎

http://toshin10.myweb.hinet.net/

・子ども園

http://www.ez-cloud.org/

・好来幼稚園

・心愛幼稚園

台中

Angel幼稚園(安君児幼稚園、エンジェル幼稚園)

http://www.ang.com.tw/jp/home.php

高雄

玉成幼稚園

その一方で日本語ができる台湾人の先生がいる日本人向けクラスもある。台湾人の先生の幼稚園は、先生は日本語で話すが、子ども主導で教育をしてくれるので、子どもはのんびりと過ごすことができる。ゆったりとした時間が流れ、中国語クラス、英語クラスも週に一時間ほどあるので、ABCに慣れることができた。幼稚園で生活を送っているうちに家で簡単な英語も話すようになった。こーちゃんの場合、無難に日本語クラスがある幼稚園を選んだという消極的選択だったが、友達もでき、無事に生活できたことに感謝している。