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台湾で子育て~幼稚園、学校選びと台湾での生活~

【第3回】第二章 幼稚園選び(2)

2016.02.09 | 山田美香

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一日の教育をほとんど英語で行う英語幼稚園

 

日本の幼稚園、日本人向けクラスがある幼稚園以外に、英語幼稚園の選択がある。英語が全く分からないこーちゃんには最初から対象外であったが、幼稚園に入れば英語を勉強することができる。

台湾人は、なぜか幼児に英語で話しかける。台湾の保護者は英語好き。台湾のお母さんは教育熱心で、本屋でも英語で話しかけている親子を見る。外国人も相当数いる台湾だけにシンガポール人か香港人かと思ったりするが、実際は台湾人親子だったりする。母親が簡単な英語のフレーズを中心に子どもに話しかける。子どもは補習班(塾)で英語を学ぶのだが、それ以上に親が家で教えないと効果がないというので、昨日補習班で習ったような内容を母親が繰り返しているらしい。家でも使わないと、高雄市の場合小学校は三年生から英語教育が始まるので、小学一、二年のブランクがあると、結局三年生から英語の勉強のやり直しということになってしまうらしい。

英語幼稚園に子どもを通わせているお母さんも、家では英語で会話をしている。保護者は、「自分が英語に自信がないばかりに、子どもには早く英語を教えるのがいいとあせるが、どうしたらいいのかよく分からず、結局かえって子どもの学習への関心、動機がなくなってしまう」という。(『親子天下』三七、二〇一二年八月号、p・一四六)

どのような選択肢でも子どもが台湾で健やかに育つことが大前提で、その上で親としては少しでも中国語や英語もマスターしてもらいたいと思うところ。台湾では多くの保護者が子どもに幼稚園で英語を教えることを希望するので、幼稚園に入ると英語が少しはできるようになる。しかし子どもはロボットではないので、日本から初めて来たという子どもに最初からあまり異なる環境に置くのは難しいかもしれない。

ただ、長期滞在する場合は、台湾では幼稚園の転園は珍しくないので、英語幼稚園に入れてみるのも一つの選択である。もちろん、せっかく二、三年台湾にいる計画であれば台湾の幼稚園に入園させることも。このような英語幼稚園の卒園生は、私立の英語小学校に行く子どもが多いが、地元の学区の国民小学に行く子どももいる。

幼稚園の教育

 

幼稚園の領域というのは、日本の学校でいう国語、算数、理科などの教科よりも広い概念で、語文、芸術、数学自然科、社会常識科などがある。

台湾の幼稚園は多元知能開発(多様な方法で知能開発)、モンテッソーリというキーワードで子どもの入園を勧めているところも多い。少子化の今、就学前教育は義務教育ではないので、特に私立幼稚園の至れり尽くせりのサービスはすごい。

例えば、前述の多言能力開発は、エリックの多元知能理論でEGを養成するものである。EGは、知識型社会経済社会で必要な人間関係、表現能力など多様な能力のことである。しかしその方法は看板が同じでも園によって異なる。実際の保育はそれぞれの教師に任されるからである。公立の幼稚園・託児所が少ない台湾では大半の子どもは私立に入るが、大半の幼稚園は夜六、七時まで子どもを預ける。積極的な園は五時以降のおけいこごとも参加が可能である。英語、ピアノなどの教室は別に費用が要求される。

前述の幼稚園の二階部分は多元知能開発用の年少から年長のクラス、三階はモンテッソーリ教育をする年少から年長のクラスで、教室のつくりも、教室においてある教具、遊具もすべて異なっていた。保護者と子どもが多元知能かモンテッソーリのどちらかを決める。

二〇〇五年、政府が一日の教育をほとんど英語で行う英語幼稚園を取り締まったため英語(全美)幼稚園・託児所がなくなったが、現在英語幼稚園は保護者が子どもに英語環境を与えたいため多くなっている。

幼稚園の選択には、次のものがある。

 

・最初は日本の幼稚園・日本人向けのコース

―子どもの様子を見ながら転園も

・最初から全美幼稚園

・最初から台湾の幼稚園

・最初から最後まで日本人クラスがある幼稚園

費用

 

費用に関しては現在の台湾では、子どもが幼稚園に行くと、保護者の所得、子どもの数によって、一年間に三万元から六万元の補助がある。年長クラスの五歳児は、子どもに就学前教育を保障するため学費は無償となっている。政府から学費相当分の補助が出されるのである。四歳児以下の場合、学費は、原住民、低収入、身体障碍者であれば、政府から毎月三千元の補助があり、また、半年に一度必要な保育費、教材費なども二割引きになるところもある。

四歳以下の子どもの場合は、高雄市の場合、教育券五千元が使える。教育券、つまり教育バウチャーは学費の補助に使うが、一部の自治体では五歳児が学費免除されたため、バウチャー制度はなくなった自治体もある。しかし極端に学費が高い場合は、ある程度の学費相当分がバウチャーで無償となり、その他は自分で支払うことになる。日本の高校無償化で公立学校相当分が私立高校生に学費の補助とされたのと同じである。しかし日本人ではそのような補助はない。

この学費無償制度では、教材費、保育費用などは免除の対象とはならない。低所得者、身体障碍者など、特別の事情がある場合などは保護の対象となる。

預かり保育のなかで才芸班というおけいこごとも学べるが、その場合別に費用が必要となる。

幼稚園の保育時間は、朝七時半から夜六時半までである。多くの保護者は夕方四時から五時頃迎えに行くらしいが、日本の預かり保育代金などは請求されない。

幼稚園バスの不思議

 

幼稚園バスは、台湾全土みんな同じデザインである。黄色、緑色が主体である。幼稚園によって違うのは車体に入った幼稚園名、託児所名、幼児園名だけである。今は幼託一元化で幼稚園バスも、「何々幼稚園」と書いてあったのが、「何々幼児園」と一元化後の幼児園と書いてあるものが多い。日本の幼稚園バスのように、車体の前面が犬の顔になって立体的にかわいくデザインされたもの、アンパンマンとその仲間たちが乗っているようなバスはない。台湾の幼稚園バスはひどく地味だが、こーちゃんは幼稚園が通るたびに、お友達がいないかなあとバスの中を探していた。幼稚園バスはどこも同じなので、「それは、こーちゃんが通っている幼稚園バスではないよ」と言ったら、そうなのかと納得していた。

バイク通園

 

幼稚園の登園風景は台湾ならではのものがある。バイク通園が多いことである。子どもを運転する自分の前に立たせてサイドミラーの部分を握らせる場合が最も多い。ある時は大きな子どもは後ろ、幼稚園児を前に立たせた三人乗りのお母さんを見かけたが、それが日本人のお母さんなのでびっくりした。長期滞在者にはバイクは便利かもしれない。日本人コースがある幼稚園は地下鉄の駅やバスから遠いところにある場合もある。バス停が近くにあっても一時間に二本のバスだと、朝の忙しい時間に使えない。

幼稚園バスもルートが決まっていて、それほど遠いところまでは来てくれないので、家が遠いと、基本的には自分で通園することになる。ただ、最近は日本人駐在員のお母さんもバイクか自転車に乗る人が多く、以前ほどタクシーは使わないらしい。

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