心の支え ~900号に捧ぐ~
人間は弱い。その弱さ故、組織は徹底的に人を管理しようとする。管理しなければ、必ず、非生産的な弱さを見せるに違いない。そういう声が、どこからか聞こえてくる。
一般生活でも、人間は弱さを持っているが、管理された仕組みの中でその弱さを感じている暇もない。ゴルフにおいて人間の弱さを実感しやすいのは、持ていないどころか、見たこともない人が多いルールブックと本人の良心でゴルフがプレーされているからだろう。
私だって、年に何度も悪魔の甘い人に乗ってしまいそうになる。それを断ち切れるのは、ゴルフを好きだという気持ちが一番であるが、その時々で、それを後方から支えてより強い気持ちにさせるものがある。ある時は専門学校の生徒たちが寄せてくれる信頼であったり、ある時は、コーチをしていた高校ゴルフ部の部員たちの瞳だったり。
今は明らかに、900号になるまで読むことで支えてくれた読者をイメージする。彼らを裏切るわけにはいかない。
ある読者からのメールが来た。誰も見ていない。少し球を動かすと非常に良い位置になる。そういう時に、どうしてもその誘惑に勝てずに、ボールを足で動かしてしまう。その結果に関わらず、必ず後悔して、その後はガタガタになる。どうしたら、誘惑に勝てるのでしょうか?
私は、この手の質問が苦手だ。自分が苦労したことがない内容について、どうしたら良いのかなんて答えられない。当たり障りのない言葉を選び、ただ、1回だけやってみよう、と思ってやってみれば、次も次もと連続させれば簡単である、なんて……。
その読者から先日メールが来た。もう誘惑には負けません。ありがとうございました。問題解決である。彼はゴルファーとしても一歩を歩き出した。
彼は、年末に購入したGolf Planetオリジナルのキャップクリップとマーカーに支えられていると言う。誘惑があると、彼は意識的に、マーカーを握りしめる。『全国に、このマーカーを持った仲間がいる』。そう思うと、誘惑は遠くに消えていき、次のショットに集中できて、スコアも2回連続でベストスコアに近かったと言うのだ。彼にとって、Golf Planetのマーカーは支えなのである。
人間は弱い。だから、支え合っていくのである。
マーカーについては色々なメールをもらう。購入者からのお褒めの言葉、購入できなかった方からの催促、以前のマーカー購入者からの問い合わせ……。全国(離島まで)にGolf Planetマーカーを持っている人がいる。それだけで十分に人同士は繋がっているのだろうか。
900号になり、色々と整理をしていた。裏に磁石が付いたGolf Planetマーカーの希望は53通にもなる。キャップクリップは持っているとか、帽子類は被らないのでいらないが、マーカーだけは欲しいという声である。磁石が付いているマーカーは、確かに使ってみれば便利なことが多い。私も非常に感心している。
支え合うことを意識しながら、磁石付きのマーカーを改めて作ろう。吹きすさむ北風の中で、温かさを求めるような気持ちでそう決意した。顔が分からない読者同士、ゴルファーとして繋がり合うのも良いことである。
(2004年1月16日)