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ゴルフプラネット 第20巻

【第3回】冬のゴルフとデジカメ

2016.08.25 | 篠原嗣典

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冬のゴルフとデジカメ

 

「今週の寒気が過ぎれば、これからは徐々に暖かくなります」

 

 天気予報士がTVの中で淡々と説明する。ようやく、春が来る。

 

 東京では、梅が咲き始めた。他人の家の庭を見て、季節を感じるのは、例年のことである。ゴルフ場で春を感じるのは、もう少し先になるだろうが、春を待つゴルファーは居ても立ってもいられない時期が、すぐそこまで来ている。

 

 今シーズンの冬は寒かった。今まで経験した冬のゴルフの中で最も寒い感じがした。

 

 もちろん、ゴルファーとしてある程度経験があると自覚している私は、防寒の為の工夫を色々としたりしたので、温度として震えの度合で寒かった、と言っているのではない。

 

 話は逸れるが、冬も負けじとゴルフをするゴルファーとして円熟しているかどうかは、適度な防寒が出来るかで決まる。動きやすさとコース上での変化に対応できることが、冬ゴルファーの防寒のテーマである。特にこれからの季節は、暑くなってしまって汗をかいているのに、脱ぐことが出来ない下着だったりして、プレーに集中できない人がたくさん出現するので、大いに頭を使わなければならない。

 

 今回の冬が寒いと感じたのは、実は、デジカメ(デジタルカメラの略)が原因だ。

 

 この冬は色々と理由があって、デジカメを持ってコースに行っていることが多かった。現在のデジカメは、手の平サイズでありながら高性能で本当に重宝する。昨年買い替えた機種は、ボイスレコーダにもなるので、仕事でも欠かせない相棒になっている。

 

 このデジカメは購入して4カ月で、既に、画像は約2000枚、動画は(約30秒までの動画が撮れて、スイングなどを撮ると参考になる)約200本撮った。大活躍である。

 

 高性能のデジカメの弱点が寒さだと知ったのは、12月のゴルフコンペで、朝、集合写真を撮ろうと思ってシャッターを押すが、奇妙な動きをして、エラーになってしまったり、いきなり、オフ状態になったりしたのだ。『壊れた?』と思ったが、後で調べてみると、気温が0度を下回ると、そのような現象が起きることが分かった。

 

 それ以降、私は気温をデジカメの調子で知ることになった。もちろん、手の平などで暖めれば、デジカメは順調に動くのであるが、少し油断するとボディの温度が下がり、いきなり操作不能になる。こういうことをストレスと感じる人が多いが、私はどういう訳だかデジカメについてはトラブルのたびに愛おしく感じていたのである。

 

 春が近づいてくるという知らせを感じつつ、ゴルフをする上では嬉しくてワクワクしている。でも、心の片隅で、気温を気にしながらデジカメを操作する楽しみがなくなってしまう淋しさも感じている。何とも勝手なセンチメンタリズムであるが……。

 

 そんな気持ちのままなのに、手は受話器を握りしめ、ゴルフ場への予約の電話をしているのである。カレンダーでも1月は終わり、2月になる。冬は急激に去っていくのだ。

(2004年1月30日)

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