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ゴルフプラネット 第18巻

【第2回】飛ばし屋の楽園

2016.08.15 | 篠原嗣典

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飛ばし屋の楽園

 

 詳細は本一などに改めて書くとして、メジャーを開催するコースはこれでもかと言わんばかりに改造を繰り返している。

 

 聖地であるセントアンドリュースも例外ではない。その改造について、飛ばし屋の楽園にならないようにする為だと説明している。

 

 飛ばし屋の楽園というのは、短いコースということなのだろう。本当かなぁ?

 

 いつも言っているように飛ばし屋を困らせる為にコースを長くすることは、その何倍も、飛ばないゴルファーを苦しませることになり、その結果、距離が長いコースほど飛ばし屋が有利になる。

 

 むしろ、長いコースの方が飛ばし屋の楽園だと言えるのだ。ちなみに米ツアーでは、昨年末より長いホールをただ並べるのは、飛ばし屋が有利になるだけだという考え方で、色々な修正を加えるべくプロの試合をするコースのガイドラインを作り直している。

 

 タイガー・ウッズの出現で、飛距離が出る選手が有利だという考え方が一気に増殖した。米ツアーの平均飛距離は、年ごととに伸び、上位者が300ヤードオーバーになった。一般的なアマチュアも飛ぶ人が微増したような気がする。フィル・ミケルソンが、タイガーは飛ばない道具で戦っていると発言して大騒ぎになったのは記憶に新しいが、その発言以降、明らかにタイガーは飛距離を意識したゴルフを始めた。用具を変更して苦悩するタイガーには、飛ばし屋用にコースを長くするというブームを起こした原因だったことが遠い昔のように感じる。

 

 飛距離が出るプレーヤーと飛距離が出ないプレーヤーが同じ精度でボールを狙った所に打てるのであれば、飛ぶ方が有利である。これは自然の法則であり、ゴルフだけが特別であると考えるのには無理がある。今までは飛ぶプレーヤーは精度が低かったので問題にならなかったが、現在の道具は精度を補うことが出来るようになっているのだ。

 

 その問題解決をコースで全て解決するというのは、ナンセンスで非現実的である。用具の問題も含めて、解決をしなければならない。そして、何よりも受け入れる、つまり、妥協も必要である。

 

 ゴルフという文化を守るということは「パー」とは無縁である。つい百年前までは100を切るのにプロだって必死になっていたのだ。100を切り、90を切り、80を切るゴルフを規制しようという動きは、全くないわけではないが、効力を発揮しなかったことは歴史が証明している。ゴルフは、強烈なハイスコアが出ても面白さを失わない。

 

 ゴルフコースは、ゴルファーの楽園であって良いのである。飛ばし屋の楽園は、たぶん、全てのゴルファーの楽園でもある。受け入れる勇気も大切なのである。

(2004年1月14日)

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