なぜいつもそんなに酔う?
なぜいつもそんなに酔う?
ディラン・トマスはなんと答えたのだろう。
理由の丘の、湿った側をすべりおちて、
オレンジ色の塩田のつづく海岸を走る。
南ウェールズの、一九三〇年代。
汚れたズボン。
「もっとイットがあるもの」を求めて、
若い詩人の足は愚行の藻にからまれる。
石を投げる。みんな、くるしめばいい。
ぼくの可愛いけもの、
ぼくのひねくれた天使、
ぼくの狂った夕陽。
追いつめられ、色をなくして、夜の塩。
どうやって脱出したのかおぼえてないけど、
そして反省なんかしないけど、旅に出た。
ブルターニュ。能登。どこにもいない男になって。
気がつくと六十三歳。
村の占い師とそのとなりの太っちょに
ツイカをごちそうになり、ふらつく足で、
切り立った大岩にのぼる男だ。
皮商売は休業中。ポケットにはまだかたい果実。
子宮じゃなくて、魂と音楽から生まれた
ルーマニアの娘たち。
パンを上手に焼いて、体操もうまい!