毎日がたたかい
まず、カッコウのいいことを先に書こう。
わたしたちが借りた住居は、中高級住宅街の一角にあった。敷地約千平方メートル(三百坪)。二階建、部屋数九。風呂に加えて、シャワー四、トイレ五。別に、使用人棟とガレージ二つ。妻とわしには広すぎる。
玄関周りにはブーゲンビリアが咲き乱れ、前庭には芝生、裏庭にはバナナが実っている。
東京で中古マンションの住人が、とつぜん大邸宅のアルジになった。
それもこれも、国際交流基金のおかげ。なにしろ、住宅手当として、家賃の九十パーセントが支給される。