●クラブの長さ
クラブの長さは基本的にインチで表記されている。1in(インチの略)は約2・4センチ。ドライバーで43in、3番アイアンが38in、番手が落ちるに従って0.5inずつ短くなっていくのが基準(43in合わせと呼ばれる)。
昨今はドライバーの45inは当たり前、アイアンも長い合わせのものがある。シャフトの機能向上、軽量化の勝利だと言えるが、それを生かせているかは個々の胸に手を当てて考えて欲しい。しかし、冷静に考えて、この5年で一般の人の飛距離は15Y程度延びていると感じる。一概にクラブが長くなったことを原因にはできないが、大きい要因であることは間違いない。
さて、あなたは異なる2本のクラブの長さを見る時にどうする?
正解は、グリップエンドを地面に合わせてヘッドを上にしてヒールのネック付近で比較するのだ。ヘッドを地面に当ててグリップエンドで比較しているのはクラブが分かっていない証拠。かつて用具の販売をしていた頃は、そういう人を見つけると「カモ」だと躍り上がったものだ。
ヘッドを下にすると、フェースの長さやライ角に影響されて正確な長さが分からない。ゴルフショップで「分かっている人」を演じるには、この長さを見る方法が効果的である。
注意すべきは、装着しているグリップによっては5ミリ程度の誤差があることだ。それを考えれば、長さが違っては困るセッティングで、グリップを違うものにするのは危険があるということを覚えて欲しい。
話は変わるが、リシャフトなどと言ってシャフトを差し替える人が少なくない。その際についでだからと言ってシャフトを長くするオーダーを出す人がいる。これは簡単な話に感じるが、実は奥深い話になる。
長くする場合には、前のシャフトより軽く硬いものにしないと悲惨な結果が待っている。シャフトは長くなればなるほど軟らかくなる。
9番アイアンのヘッドを地面に付けてグリップエンドをヘッド方向に押して見た結果とドライバーで同様な行為をした結果を比較すれば誰にでも実感できる。
また、軽さも重要だ。インチ伸ばしをする場合にはシャフトを軽くしないと重くて振れないクラブになる。子供が遊ぶシーソーは遠くに乗るほど重くなり、真ん中に近づくと軽くなる。それと同じである。ヘッドの重さは決まっているので、長くなった分シーソーの素材を軽くすることでバランスを取るのである。
クラブの世界は本当に奥が深い。
(2000年2月16日)