【第3回】メンテナンスの重要度 | マイナビブックス

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ゴルフプラネット 第1巻

【第3回】メンテナンスの重要度

2015.02.03 | 篠原嗣典

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●メンテナンスの重要度

 

 コースの評価は様々です。例えば、歴史、レアウト、サービス、プライス、そして、メンテナンス。

コースの紹介にもそろそろ飽きてきたところ、今日はコースのメンテナンスに注目します。

 

 「フェアウェイがボコボコでさぁ、ドライバーは最高だったのに2打目がダフっちゃって……」

 

 「ベアグランドだらけで……」

  

 クラブハウスでは言い訳のオンパレード、ゴルフの神様も思わず耳を塞ぎたくなる事もしばしばだとか。どういう訳か、多くのゴルファーはフェアウェイのメンテナンスが気になることが多いようです。

 

 正確に数えたことがないのですが、私は国内で約200コース、国外15コースでプレーした経験があります。国外はいわゆる名門と呼ばれるコースばかりです。その経験や、信頼できる伝聞から言えることは、日本のコースのフェアウェイは素晴らしいということです。

 

 海外では名門と呼ばれるコースでもフェアウェイの芝が生え揃っていないコースがゴロゴロあります。芝の種類やゴルフに関しての考え方が違うから来るものだと思われますが、一言で言えば海外の良いフェアウェイの基準は地面が固く(カートが入っても大丈夫である強度が必要な為らしい)刈り込むことによって芝が薄いことだと思われます。

 

 海外の一流コースで感じるのはアプローチの難しさです。グリーンの形状もありますが、特にフェアウェイが日本より刈り込まれているところにその原因があると思われます。思い出してください。ショットが大きく曲がったりして、別のホールのティグランドでショットする経験を。または、グリーンからアプローチすることを(普通はあり得ないですが)。

 

 日本のフェアウェイは芝の種類ということもありますが、刈り方がボールを浮かせるように長めになっているのです。刈り込んだ芝では、ボールが沈んで見えると言います。実際には、普段が浮きやすい環境でやっているというだけなのです。

 

 海外でのプレーはドライバーが飛ぶんだよなぁ、という話もフェアウェイのメンテナンスの違いが生んでいるケースが多いようです。

 

 話を戻しましましょう。

 

 フェアウェイのメンテナンスは多数決で言えば、絶対条件であるようです。海外のコースがどうであろうと日本のコースは日本のコースだと言う声も聞こえてきます。

 

 しかし、私の私見を書かせてもらえば、メンテナンスで気になるのは3点です。

 

 一つ目は、ティグランドに傾斜がないこと(ゴルフコースで唯一平行が許される場所なのに、傾斜がある所の多いこと……)。

 

 二つ目は、バンカーの砂が馴染んでいること(大量の砂を一気に加えるような方法は問題があると思えるのです)。

 

 最後はグリーンです。重くても速くても良いのですが、18H全てのグリーンが同じスピードであること。

 

 私の意見は特異であることは十分承知していますので、これ以上の説明はしませんが、私はフェアウェイの状態はあまり問題にすることがないのです。

 

 まあ、雑草がボウボウしていて、どこがフェアウェイだが分からないというのは論外ですけど、クローバーが密集しているくらいなら楽しんでしまおうと考えます(クローバーが密集している所から打つ経験はなかなか出来ません。それはもう……)。

 

 また、ベアグランドにボールが止まってしまった時も『腕の見せ所』と自分を奮い立たせます。

 

 月1回の楽しみ、高いお金を払っているのだから、修行のような気持ちでやりたくないというのが一般的な社会人の代表意見であるという人がいます。正直な話、気持ちはよーく分かります。しかし、うまくいかない自虐的な楽しみを理解しなくてゴルフと言えるのでしょうか。試しに、全てのショットをティアップして打って良いというルールでプレーしてみてください。または、納得いくまで何回でも打ち直して良いルールで。

 

 どんなスコアになったとしても、虚しいものではないでしょうか。

 

 つまり、ゴルフの魅力の重大な要素は困難に立ち向うことだと言えると思うのです。その意味で、フェアウェイが! と目くじらをたてなくとも…… と思うわけです。

 

 第1打を打ってしまえば、次からは様々な幸運や不運が起きるのも、ゴルフの楽しみです。非の打ち所がないスーパーショットがディボット跡に入ることもゴルフなら、チョロをしたボールがラフの中でティアップしたように次打を待っているのもゴルフです。

 

 メンテナンスは確かに重要です。メンテナンスが良いコースというのは不必要な幸運や不幸が発生しにくいコースだ、とも言えるでしょう。経営者の考えやグリーンキーパーの仕事への考えでも左右される要素もあるだけに、一概には言えないのですが、この機会にメンテナンスについて少し考えてみませんか?

 

(2000年2月29日)