【第4回】三章 ―(1) | マイナビブックス

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穢れない白の音

【第4回】三章 ―(1)

2015.07.17 | 七瀬椋

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 木曜日、シフトが入っていた私はバイトへと来ていた。私は従業員の部屋に貼ってあるシフト表を見て、安堵の溜息をつく。今日も須々木さんとは被っていない。

「おはようございまぁす」

 扉が大きな音を立てて開いた。樋口さんの声だ。私は内心げんなりしたが、顔には出さずに挨拶を返した。

「あ、上崎ちゃんっ。話したいことあったの」

「何でしょうか」

「日曜日の王子様のことっ」

 樋口さんは興奮しているのか、鼻の穴を膨らませて喋っている。補聴器をしていなくて良かった。この声を増幅させられたら、脳みそがシェイクしたに違いない。

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