【第1回】鉄道各線の歌 | マイナビブックス

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 鉄道と音楽の関係で、真っ先に頭に浮かんでくるのは車内アナウンスの前後にかけられるオルゴールだ。どういう曲が流れてくるか、それを聴くだけでも旅行の楽しみが倍増する。

 オルゴールファンは多いと思う。和田岬線が客車だったころはオルゴールが付いていた。しかし、短い区間だったことや常連のお客さんがほとんどだったこともあって普段はあまりかけないが、休日などにオルゴールをかけるとお客さんの表情が和らぐ。

 私が好きな曲は、急行気動車によく使われているツェルニー作曲の「旋律的練習曲」で、曲名は最近になって妻から教えてもらい、それまで数十年の間ずっと知らなかった。難しい曲名ではあるが、曲を聴いたらほとんどの人がつい口ずさんでしまういい曲だ。その曲が1964年の夏に小学生のとき初めて国鉄の急行に乗った天王寺発白浜口行きの「きのくに」の車内に流れていた。今でも鮮明に覚えている。

 当時、急行気動車は全国の各線でたくさん走っており、なじみの深い人も多いと思う。オルゴールがうまく回っていなくて、局の途中から始まって曲の途中で終わるようなものもよく聴いたが、それはそれで親しみのようなものを感じた。

 1972年に北海道旅行に出かけたとき、できるだけ多くの種類のオルゴールが聴けるように列車に乗ったことがある。同じ名称の特急や急行でも、車両の種類がちがう場合があり、わざと途中の駅で降りて次の列車に乗り換えたりもした。

 全国一周列車オルゴールの旅をしてみたい。はたして何種類の音楽を聴くことができるか楽しみだ。

 最近は、発車ベルのかわりに音楽を使用している駅がほとんどだ。私は関東のJRの駅の音楽が好きで、その中で山手線の音楽をよく口ずさむ。1972年に北海道を行ったとき、札幌駅では発車ベルを一度テープに録音して流しているように聴こえた。実際にベルを鳴らすよりソフトな感じがした。

 鉄道と音楽の関係がさらに深まっているのを期待する中で、私が今まで乗った100の路線に歌を作り、鉄道唱歌の現代版と元国鉄の専務車掌で今は歌手の伊藤敏博からも推奨してもらって「クイズ鉄道100線の歌」(成山堂書店)を出版した。