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戦国サラリーマン 山本勘助①

【第1回】第一章 山本勘助とは、何か? ――勘助流処世術の学び方

2014.12.25 | ナリタマサヒロ

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第一章 山本勘助とは、何か? ――勘助流処世術の学び方

 

はじめに

 

「歴史」というものは、古代ギリシャのヘロドトスの時代から、後進の我々にとって、生き方となる指標を示してくれている。

「賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶ」とは、「鉄血宰相」といわれたドイツ帝国の初代宰相となったビスマルクの言葉であるが、我々がより良く生きるためには、過去の歴史の中から、参考となる生き様を正しく学ばなければならない。

さらに、「歴史は繰り返す」という、シンプルにして、不変な諺もある。

二千年余の人類の歴史の中においては、幾度と無く、同じような局面において、同じような過ちを犯したり、あるいは、歴史に学んだ叡智で危機を逃れたりしている。

そう考えると、歴史とはいえ、所詮は同じ人間が感じて、考えて、行動した結果に過ぎないとも断言できるし、歴史的偉業や英断と崇められる行為も、決して超人的な「スゴ技」ではなく、同じ人間として、そこまでの行為が出来たのだと、ポジティブに感じるべきなのであろう。

とはいえ、あまりに問題の前提やとりまく環境が異なっている状況での事例については、それを我が身に置き換えて、参考となるように身近に感じることは困難だと言える。

ついては、同じ歴史であっても、我々が身近に感じたり、親しみを覚える日本の歴史、さらには、血沸き、肉踊る戦国時代の歴史から、興味深い人物の生き様を学んでみたい。

そこで取り上げたいのは、「戦国時代きっての名軍師」と呼ばれる「山本勘助」である。

2007年、NHKの大河ドラマの主役にも取り上げられたことから、その知名度は抜群であり、誰もが知っている歴史上の人物といえるだろう。

けれども、その実像は、本人が実在したという確証を含めて、非常に不明瞭であり、多くの謎に満ちた人物像なのである。

この本では、彼の実像を探りつつ、その人間的な魅力についても明らかにしたい。