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ゴルフプラネット 第5巻

【第1回】まえがき/大サイトの不勉強

2014.12.15 | 篠原嗣典

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まえがき

 

 2000年末にGolf Planetは曜日テーマを変えました。

 

 本書は2001年の火曜日に書かれたもので、テーマはコースではなく『喜怒哀楽』です。

 

 ゴルフの魅力を一言では表すのは無理ですが、その何割かはゴルフを通じてたくさんの出会いを経験できることだと思うのです。初対面の人でも、言葉が通じなくとも、ゴルフを一緒にして楽しむことは可能です。

 

 出会いが増えれば増えるほど、ゴルフの喜怒哀楽は増します。

 

 本書の中に、専門学校でゴルフを教える話が出てきます。今より何倍も「ゴルフはおじさんの遊び」と思われていた頃の話です。

 

 ゴルフに興味を持ってもらうために色々なことをしたのですけど、喜怒哀楽を通してゴルフを見せることが王道なのだと確信した経験になったのです。

 

 ゴルフは物語に溢れています。語り継がれるようなものではない小さな物語にも楽しめる喜怒哀楽は存在します。

 

 スコアで喜怒哀楽を楽しむのもゴルフですが、スコアがないところにもゴルフにまつわる喜怒哀楽があるのです。

 その一端を楽しんでもらうのが本書です。

 

(2013年3月)

 

 

大サイトの不勉強

 

 今年に入って、ゴルフ関係の大きなサイト2つにメールを送った。間違っている部分の指摘とそれを修正するように要請した内容だった。

 

 それだけは分からないと思えるので、簡単に内容について触れることとする。

 

 一つはルールについてである。旗竿に向かってボールを打ったら、旗竿に当たろうが当たるまいが2打罰であると記載されていた。明らかな間違いであり、普段普通にラウンドしている人であれば、誰でも知っていることで、それを見た時に一瞬我が目を疑った。

 

 もう一つは、マスターズとUSGAの関係についてである。全米オープンとマスターズを混合して書いていて、それはマスターズを神聖なものと崇めている私にとって、読むのもおぞましいものであった。それでいながら、論調は日本のコースが易し過ぎるとのもので失笑してしまった。はたして、マスターズと全米オープという分かりやすさで教科書に載せても良いほどの大きな違いが分からない人に、日本のコースが易しいかどうか分かるのだろうか?

 

 どちらのサイトも、個人が趣味でやっているからと苦笑いで済まされるものではなく、企業がゴルフに絡んで商売をしているサイトでの文章である。

 

 ゴルフでは無責任な流言が一人歩きすることが多々ある。過去にもそういう例は数え切れない。それはそれで正しい知識を知れば、笑い話にもなる。しかし、そのままで過ごしてしまえば、笑い話ではなく、笑い者になるだけである。

 

 先程の旗竿の件でも、サイトを見て間違えて信じた人を誰が正してくれるのか? 偉そうに書いている私でさえ、ルールブックを開いて慌てて確認した。『嘘だろ、おい』と思ってはいても、ゴルフを商売にする企業のサイトが無責任に間違ったルール解釈を載せる訳がないと思ったからだ。一般の情報に乏しいゴルファーは、鵜呑みにしてしまうケースの方がむしろ普通ではないだろうか。それだけではなく、それを仲間に伝えていき、伝言ゲームのように不確かに伝わっていく恐怖を考えれば、ただボケっと見過ごすのはゴルファーとして間違っていると思われた。

 

 本誌でもルールの話は何度か書こうと挑戦したことがある。しかし、いずれもお蔵入りとなった。怖かったのである。ルールをやさしく解説すれば、やさしくした分だけ誤解が生まれる可能性がある。ルールブックはある意味完成されているのである(とはいえ、挑戦はやめないので、いつの日かルールの話を書くつもりだ)。

 

 ネットの世界は、不特定多数の目に触れる前提で成り立っている。無料だから、無責任で良いというのは乱暴な理論であり、無責任になってしまうのであれば、露出させなければ良いだけの話である。

 

 特にゴルフの場合は、ほとんどのケースで確実な正解が存在するのに、その正解に辿り着く道は不明瞭であることが多い。

 

 人の癖見て……

 

 本誌も無責任にならないように十分に注意して編集していこうと肝に銘じた。

 

 現在の所、両サイトともにリアクションはない。どのような事情があるのかは知らないが、悲しい話である。

 

(2001年1月16日)