【第2回】FX取引 | マイナビブックス

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2 FX取引

 

 FXとは「外国為替証拠金取引」(margin Foreign eXchange trading)の略で、外国の通貨を売買して、利益を得る取引のことを意味します。

 ある投資家はドル円相場の事を「世界で一番ホットな博打」と評していました。

私もそう思います。その意味を探ってみましょう。

 FXの最大の魅力はそのレバッレジです。段階的に引き下げられたものの、現在でも最大25倍のレバレッジをかける事ができます。500万円の元手なら、1億2500万円の取引ができます。

 最大25倍のレバレッジを使って、「ドル買円売り」、ポジションを取るなら、仮に1ドル=100円として、125万ドルのドルを買う事ができます。もし1円円安に動いて、1ドル=101円になったとしたら、101円×125万ドル=1億2625万円、なんと、1円の値動きで、125万円もの利益がでるのです。勿論、相場が思惑の逆に動いたら、それだけの損失を出しますが。

 この威力はすごいですよね。

●個人的には、株よりはFXの方が、素人が勝つ確率ははるかに高い、と思っています。その根拠は、為替相場はトレンドがはっきりしているからと、さらに「情報の早さ」をあまり必要としないからです。

「トレンド」とは相場の方向性という意味です。

 

 中長期的に見れば、相場はひと方向に向かいやすい、買いが買いを呼び、また売りが売りを呼ぶ構図になりやすいのです。

 つまり「逆張り」をせず、「順張り」をすると勝ちやすいのです。

 

 また株式投資ほど、「情報の早さ」」を必要としません。

 株式投資には、ある程度の投資尺度は存在します。PERやPBR、ROEといった株価の適正数値を判断すべき尺度があります。

 それら指標を目安とするなら、決算予想や資産状況、新商品の売れ行きは、株価にとって重要な事柄であり、いち早く予見できた人ほど、優位に投資する事ができます。

 逆に為替相場においては、投資尺度となるべき物差しがないのです。そもそも1ドル100円の根拠はないのです。日米の貿易収支の差? 資本収支の差? 失業率やその他指標の差? どれも当てはまりません。

 極論を言うと、1ドル50円でも、1ドル150円でも不思議はなく、1ドルがいくらであっても、そこに理論的に説明がつくような理由はないのです。

 投資尺度がない以上、機関投資家に比べて素人が不利な「情報の早さ」という要素は、あまり関係がないので、株よりは投資しやすいのではないでしょうか。

 余談ですが、個人的には、少々古い学説ですが、「流動性ジレンマ」という考え方は正しい、と思っていますので、中長期的に見れば、円高ドル安は続くと思っています。

 

「流動性ジレンマ」とは、基軸通貨国である米国が、国際貿易の拡大に応じて、国際流動性を供給するためにドルを供給し続けると、米国の国際収支は赤字となり、ドルの信認は低下する。米国がドルの価値を維持するために国際収支を改善する政策をとると、国際流動性が不足し、世界経済の成長を阻害してしまう。

 分かりやすく言うと、各国は発展するためには、自国の信用安定のため、外貨準備として基軸通貨を保有する必要がある。その結果、基軸通貨であるドルは刷りつづけられる運命にあり、ドル供給が増え続けるかぎり、ドルの価値は下がる、という考え方です。

 またトレンドから判断しても、私は、中長期的には円高ドル安、と考えています。自信のある根拠ではありませんが。

 余談ですが、先進国の一般投資家の大半は「自国通貨の価値が下がる」と思っているそうです。皆様の周辺にも、円安論者が多いと思いませんか。「こんな借金大国の日本の円はいずれ下がるよ」「円は高すぎる。日本を買う理由なんてないよ。いずれ円安にむかうね」といった論法で。

 これは米国一般投資家の間でも同じで「米国の資本収支を考えたらドルはまだまだ下がるね」とドル安論者が多く、ヨーロッパ諸国では「EUの統合は失敗だったね。ユーロの価値は下がるよ」とユーロ安論者が多いそうです。

 理由ははっきり分かりませんが、先進国のマスコミの論調はどこも似たような感じなのかもしれません。

 これもいち見解です。もし皆様がFX投資を行うなら、ご自身の判断を信じて行ってください。

 ただし、「世界で一番ホットな博打」です。ドル円で、1円位はすぐに動きます。またマーケットは東京タイムが終わっても、ロンドン、ニューヨークと続きます。

 その収益の爆発力が凄まじいことも事実ですが、精神的な重圧もかかります。レバレッジをきかせて、ポジションを大きくとる方は 本当に相場が大好きで、夜にお酒を飲みながらチャートを楽しめるような人でないと、きついかもしれません。

 もし皆様が「勝っても負けても人生一世一代の大博打」をしてみたいなら、お勧めの投資といえますが。