【第2回】担当営業マンの話を聞いた | マイナビブックス

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2 担当営業マンの話を聞いた

 

 マンションの部屋の内見が済むと、かなえちゃんの強い購買意欲を悟ったのか、営業担当者は、「購入に向けた、今後の資金計画をお話させて下さい」と提案してきた。
 デベロッパーの営業担当者によると、このマンションの物件価格は2400万円。それにプラス諸費用約150万円、その他引っ越し代金や新しい家具購入費用が、マンション購入のための総費用になるとの話だった。
 
(下記表)
マンション価格 2400万円
登記、保証料等その他諸費用 150万円
引っ越し費+新しい家具(概算) 30万円
 
総合計出費 2580万円
 
 そしてかなえちゃんの場合、年収が約350万円なので、その約7倍 350万円×7倍=2450万円迄なら、銀行融資が受けられるという話をされた。
(年収や年齢、勤続年数、会社の信用によって貸出倍率は違うので注意)
 さらに、かなえちゃんの虎の子の預金、300万円全額を使うのは、有事の際にとても困るだろうから、100万円は預金したままにしておき、残りの200万円を頭金に入れ、残金2380万円(2580万-200万円)を借りるのがベストな選択でしょう、と心憎いまでの提案を受けた。
 そして、その場合の月々の返済金額と、その他の出費は、銀行返済金66000円、管理費と修繕積立金が15000円、合計81000円の出費でこの部屋が買える、とも説得された。
 
(下記表)
借入金 2380万円(35年、元利均等払い、ボーナス払い無、金利0.9%)
月々の返済 66000円
管理、積立費用 15000円
合計 81000円

 確かに、かなえちゃんにとって悪い話ではない。現在だって賃料の6万円は払っている。マンションを購入すると8万円以上の出費となり、差額の約2万円は大きいが、銀行返済分の一部が、自分名義のマンションの資産になっていくと考えると、現在している預金2万円を1万円に減らしても問題ない。残り1万円位なら、美容院の回数や外食の回数を減らせば何とかなる。
 その程度の苦労で、
「現在のボロアパートから、こんな素敵な新築マンションに引っ越せるなら夢のような話ではないか」
「今までいくつかのマンションを見たけど、ここが一番好き!!」
「このマンションの購入者の大半は私と同じ独身OL。年齢も30~40歳迄が一番多い。年収も貯金も私とあまり変わらないらしい。」
「絶対に買おう、借金は怖いけど、みんなしているから平気、買うぞ!!!」
 かなえちゃんは物件購入の決断し、その旨を担当者に伝えた。
 担当屋は丁寧に御礼の言葉を述べ、重要事項の説明を始めた。
 かなえちゃんは幾つかの質問をし、今後の銀行交渉をデベロッパーの担当者にお願いして、意気揚々とマンションを後にした。