【第2回】第2章 ロケットボールズはなぜ飛ぶのか② | マイナビブックス

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ロケットボールズ完全使いこなし術!

【第2回】第2章 ロケットボールズはなぜ飛ぶのか②

2014.12.08 | マーク金井

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第2章

ロケットボールズはなぜ飛ぶのか②

 

 前回は、ネーミングとプロモーション効果からくる「飛ぶ」というイメージ。そして、フェアウェイウッドにしては長めの重心距離と重めのヘッド重量。この3つを説明したが、今回は更に正体を深く探りたいと思う。

 低重心低重心というが、フェース高が低いフェアウェイウッドは、重心位置も低く作りやすい。しかしロケットボールズは、フェース高37mm(TOURは38.5mm)とややディープフェースなのに、重心高22.7mm(TOURは24.5mm)と、かなり低い位置にある。何度もメルマガに書いているので読者の皆さんもご存知かと思うが、低重心の効果は「ボールの打ち出し角が上がる」ことと「縦のギア効果によりスピン量が減る」という2点。ロケットボールズはまず低重心で、この低スピンを実現しているのだ。

 そして忘れてはいけないのが、スイートスポットの位置は重心の深さと密接な関係が有ることだ。ロケットボールズは重心深度27.5mm(TOURも同じ)とかなり浅い。重心位置が浅いというのは、どんな効果があるかあまり具体的に知られていないが、ロフトが多くなればなるほど、重心深度によって、重心高(スイートスポット)に影響を受ける。重心位置からロフトに垂直方向(直交方向)に引いた線の位置にフェースの上の重心高がくる。

 パーシモンしかなかった頃、ドライバーで300ヤード飛ばしていたツアープロはいたが、パーシモンのフェアウェイウッドは、ドライバーと比較すると極端に飛距離が落ちていた。それは重心深度が影響しているからなのだ。

 パーシモンのフェアウェイウッドは、(フェースに重量が集中しないため)構造上非常に重心深度が深く、その重心位置からフェースの直交方向に線を引くと、フェース上に重心位置(スイートスポット)が存在せず、理論的には更に上(といってもすでにフェースは無いのだが)に位置する。つまり相当の高重心となってしまうため、ロフトが多いフェアウェイウッドだと、フェースのどこで打ってもスイートスポットの下に当たって、縦のギア効果でスピン量が多くなってしまうので、パーシモンのフェアウェイウッドは飛ばないのだ。ロフトと重心深度が、重心高(スイートスポット)に深く影響を及ぼしていることがわかるだろう。

 浅重心と低重心による低スピンで、ロケットボールズは飛距離が伸びると言われている。だからスピン量が多いことが悪いことのように感じる人がいるかもしれないが、このロケットボールズは、ドライバーが300ヤード以上飛ぶ人のために開発されたフェアウェイウッド。だから低スピンを徹底的に意識しているのだ。CMに出てくるプロも、USツアーでも指折りの飛ばし屋ばかり、彼らはヘッドスピードが速いから、どうしてもスピン量が多くなってしまう。そして、スピン量が少し落ちるだけで、飛距離が極端に変わるのだ。だから+17y飛距離アップという宣伝文句が生まれる。

 しかし、ヘッドスピードの遅い人がロケットボールズを使うと、絶対的にスピン量が少なくなる。テーラメイド契約プロでも女子プロはグローレを使っているのは、ロケットボールズではスピン量が不足して、逆に飛距離が落ちてしまうから。低スピンという言葉に踊らされずに、最適なスピン量を知ることが大切なのだ。

 「飛ぶ」ということで大ヒットとなったロケットボールズだが、決して全ての人が飛ばせるフェアウェイウッドではないことがわかってもらえたと思う。アマチュアゴルファーでも、もともとスピン量の多い人はスピン量が減って飛ばせる可能性があるが、そうでない場合はボールが上がらないために、かえって飛ばない可能性が多い。つまり、打ち手をかなり選ぶヘッドであることは間違いないのだ。

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【図4】ヘッドの重心位置からフェースのロフトに対して垂直に線を引き、フェースの重心位置までの距離が重心深度。ロケットボールズはノーマル/TOURモデル共に27.5mmとかなり浅い。その結果、重心高がノーマルモデルは22.7mm、TOURモデルは24.5mmという低重心となる。浅重心・低重心によって低スピンを実現し、飛距離性能を高めているのである。