2018.03.15
ペルソナに向けたフォントを独自でセレクト! 『GMOインターネット』 幅広いお客様へ最大公約数のサービスを
1995年に「すべての人にインターネット」をブランドステートに掲げ創業した『GMOインターネット』さん。日本で初めて商用ドメイン名登録機関(レジストラ)に選出された「お名前.com」をはじめ、レンタルサーバーやプロバイダーサービスなど、幅広い分野でインターネット事業を展開しています。同社では2017年4月から〈お名前.com レンタルサーバー〉、6月から〈Z.com WP〉で、モリサワのTypeSquareが利用できるサービスを開始しました。
Webフォントの導入やTypeSquareの活用について、レンタルサーバー事業のマネージメントや事業全体の統括を担当されたホスティング事業部 マネージャー 松井大亮(左)さんと、仕様の検討から開発のディレクションを担当された事業本部 クラウド戦略チーム 吉田奈美(右)さんにお話を聞いてきました。(以下、敬称略)
無料で簡単、デザイン性の向上が付加価値に
— 〈お名前.com レンタルサーバー〉や〈Z.com WP〉において、追加費用なしでWebフォントを利用できるサービスを提供されています。まず、サービス導入の経緯を教えてください。
吉田「WordPressのプラグインで選択するだけでWebフォントが使えるという分かりやすい機能だったので、モリサワさんからお話をいただいた後、すぐに社内で検討を始めました。約半年かけて社内での検討や調整などを行い、リリースしました」
松井「弊社ではレンタルサーバーだけでも、共用型のほかVPSや専用型など複数のサービスを提供しています。そのなかでまず最初にどのサービスにWebフォントを導入するのかを検討しました。画期的なサービスなので、より多くのお客様に利用していただきたいと考え、最もお客様層が厚く契約数も多い〈お名前.com レンタルサーバー〉への導入を決めたんです」
— 導入から約半年が経ちました。お客様の反応はいかがですか?
吉田「簡単にWebフォントが利用できると、高い評価をいただいています」
松井「現在レンタルサーバーの市場は、なるべくコストをかけずにWebページを制作したいというニーズが高く、低価格化が進んでいます。その観点から見ても、これまで有料だったWebフォントサービスが無料で使えるようになったということは、お客様にとって非常にメリットが大きかった。それが人気の理由の一つだと思います。月を追うごとにお客様数は増えていますが、まだまだこれからもWebフォントサービスの認知を広げていきたいと考えています」
— レンタルサーバー業界では、低価格化と並び、容量の増加や速度の強化に取り組んでいる企業が多いように見受けられます。今回のWebフォントの導入は、それらとは異なる新しいサービスの提供と思うのですが、どうして『GMO』さんではうまくいったのでしょうか?
松井「近年は市場が成熟して、各社とも商品のスペックが似てきています。カタログスペックだけではどのサーバーを選んでいいのか分からないお客様に、他社とは違う価値を提供しないといけない。今回のWebフォントの導入は、Webサイトのデザイン性を向上させるという付加価値に繋がりました」
Webフォントのセレクトはペルソナマーケティングを用いて
— 現在提供されている30書体のWebフォントは、どのような基準で選ばれたのですか?
吉田「〈お名前.com レンタルサーバー〉は約60%が個人のお客様です。個人のお客様の中でも、ご自身が経営されているお店のホームページや会社のコーポレートサイトなどで使いやすいフォントというのが、セレクトの前提でした。Web制作や広告のデザインを行う社内のクリエイティブチームにも相談し、使いやすいフォントや時代を超えて愛されている定番のフォントをまず最初に選びました」
松井「〈お名前.com レンタルサーバー〉内のWebサイトのジャンルやテイストは千差万別。より多くのお客様にご利用いただけるよう、ベーシックなフォントは必ず押さえてほしいと指示を出しました」
— フォントの選定には、年齢や性別、職業などを設定した架空のお客様へのアプローチを行う「ペルソナマーケティング」も使われたそうですね。
吉田「クリエイティブチームの意見に偏ることも良くないと考えたので、社内の別プロジェクトで作っていたペルソナマーケティングを利用しました。さまざまな人物像を設定し、その人たちが使いたくなるようなフォントであることも、セレクトの大きな基準だったんです」
松井「お客様にどれだけ使いやすく、また実際に使っていただけるのかが重要だと考えました。そういう観点からもペルソナマーケティングを使ったんです。子供向けの商品を扱うWebサイトであれば親しみやすい[ぽっくる]、企業のコーポーレートサイトなどには名刺や印章の文字に近いイメージを持つ[新正楷書]など、用途を仮定して選んだ書体もあります」
吉田「モリサワさんに教えていただいた人気ランキングも参考にしました。ただ、長い間使っていただけるフォントが大切だと考えていたので、現在流行していても数年後に古く感じるだろうなと思ったフォントについては、あえて外しています。そのほか、クリエイティブチームからは、[新ゴ]は充実させるべきとか、これを外すわけにはいかないなんて強い意見が出たことも(笑)。担当同士、好きなフォントの話で盛り上がったのもいい思い出です。ちなみに私のイチオシは、やわらかな印象の[解ミン月 B]です(笑)」
松井「今後お客様が増えていった際、ペルソナとの差が見えてくると思います。そうしたデータをまた別のプロジェクトにも生かしていきたいですね」
デザイン性とSEO対策が両立。アフィリエイターにも好評
— UD(ユニバーサルデザイン)書体も、7種類も選ばれていますね。なぜUDフォントを多めに選んだのですか?
吉田「弊社のサービスは多くの公共機関でもお使いいただいているためです。リリース後、さっそく何件もの自治体や公共施設でお使いいただいています。文字の形が分かりやすく、読み間違いにくいUDフォントの需要は、これからは一般企業などにも広がっていくと思います」
松井「Webフォントであればデザイン性とSEO対策が両立できるのも、弊社としては嬉しかったですね。お客様には、アフィリエイターも多くいらっしゃいます。Webサイトに個性が出せると同時に、クローラーにも認識されるWebフォントは、彼らがまさに求めていたものでした。また近年、マルチデバイスが浸透していますので、パソコンで見てもスマホで見ても、ページが同じイメージで見てもらえる点も好評です」
吉田「また、WordPressで簡単に利用できるというのも非常に魅力的です。Webに関する専門的な知識がなくとも簡単な操作で利用できるのがうけていると思います」
松井「主にビジネスのサポートツールとしてWebサイトを活用されている方は、プログラミングをしてページを作り込むことはあまりなく、多くはWordPressなどを利用しています。手軽にWebサイトを作りたい人にとって、Webフォントが簡単に使用でき、ページの個性を表現できるようになったのは、弊社サービスの大きな付加価値に繋がったと思います」
— これからますますWebフォントの需要が高まっていきそうですね。
松井「すべてのお客様に受け入れられるサービスを提供するのは、正直難しいものがあります。だからこそ、最大公約数のお客様に受け入れられるサービスを徐々に提供していきたいと考えています」
吉田「ご利用者数はおかげさまで伸びているものの、契約全体から見ると一部のお客様にはまだ使っていただけていません。Webフォントを使うことのメリットや簡単に設定が可能なことをもっとアピールしてたくさんのお客様に使っていただきたいですね。こだわってセレクトした書体やフォントテーマ機能もどんどんサイトに活用してほしいです」
— 〈お名前.com レンタルサーバー〉、そして〈Z.com WP〉と、徐々にWebフォントの導入を拡大されている『GMOインターネット』さん。これからもお客様目線でのサービスの拡大を期待しています。本日はありがとうございました。
もっと詳しく→TypeSquare Blog
企画協力:株式会社モリサワ