2018.02.02
知れば差がつく! UX視点で見るヒットのツボ 2017年のヒット商品はなぜ売れたのか
2017年もさまざまなヒット商品・サービスが誕生しました。なぜそれらが注目されたのか、ヒットの理由をUX視点で探ってみましょう。リアルなアイテムの中に、Webにも活かせる考え方のヒントがあるはずです。Webサイトを含めさまざまな製品・サービスのUXデザインを手がける、(株)メンバーズ 原裕さん、川田学さんにお話をうかがいました。
付加価値ではなく"価値"をつくる未来へ
WebマーケティングにUXは必須のものとなっています。最近では特にWebだけで完結せず、リアルとの接点を含めるケースが多くなっており、私たちの場合内容によってはほとんどPCを使う作業を行わないケースもあるほどです。Webだけに閉じず、その前後から考えることで、逆にWebを活用する意味も改めて見えてくるでしう。
製品・サービスに関して言えば、均質化したものに対してプラスアルファしていくのではなく、新しい視点を生み出す必要があるということです。付加価値は「価値」ではありません。では、新しい価値とは何でしょうか。そうした点から2017年に話題となったアイテムを振り返ってみました。
UXの考え方は、突き詰めれば10年後20年後の社会を考えることにも繋がります。私たちは、UXを課題解決ではなく未来を生み出すための手段だと考えています。従来のマーケティングは自社・自社製品のことだけでも事足りていましたが、モノやサービスが溢れる現在、利用者視点の重要性が高まっています。さらに、これからはSTEEPV(ソーシャル・テクノロジー・エンバイロメント・エコノミック・ポリティクス・バリューの頭文字)で社会全体のことを考えていく発想も必要なのです。ヒットアイテムを通じて2017年を振り返りながら、将来のこともちょっと考えてみるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
甘酒
甘酒自体は何も変わらないまま核になる価値を変えて大きなヒットに
多様な種類の飲み物が存在する中、これまでわざわざ甘酒を選ぶ理由はなかったところを、「飲む点滴」というキャッチーなフレーズによって価値を見直したことで人気が出ました。甘酒それ自体は何も変わらないまま、核になる価値が別のところに移動した、つまりバリューをリフレーミングさせた事例という意味で大変興味深いと思いました。「飲む点滴」という言葉選びも、訴求の仕方として非常に上手かったと思います。
うんこ漢字ドリル
買ってくれる人よりも実際に使う人優先インタラクションのキャッチーさで人気に
書き取りをして漢字を覚えるという深いレベルでの価値はそのままに、インタラクションレベルですべての内容を「うんこ」に関連づけたことで、それが好きな子どもが飛びついて注目されました。教材の場合、ステークホルダーとしてお金を出してくれる親の存在が重要ですが、それよりも子どもの視点を重視したと考えられます。ただし、あくまで「漢字ドリル」。勉強に飽きず使い続けてもらえるかどうかが今後の評価につながると思われます。